リアル・ヒーローショー

27　神 ページ29

「もしもし、神？
お願いがあるんだけど」

廊下をそれなりに進んだところでニコは通話を開始した。
笑は物陰に隠れて聞き耳を立てる。

「いいじゃん。
あんたはヒーローのデータが手に入るんだし、減るもんもないでしょ？
……ありがと。
今からそっち行くから、ちゃんと出て来てよ」

通話を終えたらしいニコの前に笑は立ち塞がる。
その表情は固い。

「どうしたの？
何か怖い顔してるけど」

「今の電話は何？
データがどうのって言ってたけど、ニコは敵だったの？」

笑がニコに問い質すと、ニコはぼかんとした後、ぷっ、と吹き出した。

「っ、あはは、違う違う。
まぁ確かに私が電話してたのは元凶なんだけど、そいつに協力してもらおうと思っててさ。
さっきのはそのための餌っていうか、向こうのメリットの提示っていうか」

「そういうことだ。
彼女はAの味方ではない」

突然笑の後ろから男性の声がして振り返ると、そこには黎斗が立っていた。

「ちょっと、驚かせないでよ！」

笑が後退りしながら黎斗に抗議したが彼はまるで気にしない。

ニコは黎斗に訊く。

「何でわざわざこっちに来てんの？」

「私が直接こちらに来るほうが時間の短縮になる。
それにヒーローは七人もいるからな、ぞろぞろ引き連れてくるのは大変だろう。
本当はもう少し早くに来る予定だったが、案外脱獄に手間取ってな……」

こいつ無許可で来たのかよ、とニコは嫌そうな顔をしたが、今回は黎斗の力を借りる必要があったので何も言わずにヒーロー達のところへ連れて行く。

黎斗を知らないヒーロー達が黎斗を見て驚いていると、黎斗は告げた。

「私の名は檀黎斗神。
喜べ、お前達に神の恵みをくれてやろう！」

ヒーロー達は別の意味で再び驚いた。

☆☆☆

大我は変身を解除して辺りを見回す。

異形は爆発して跡形もなくなり、異形を生み出したAは逃げおおせている。

「やはり簡単に捕まってはくれないようだな」

飛彩の言葉にライダー達は頷く。

「あいつのゲーム病にかかった奴はいるか？」

「その連絡はまだ来ていない。
多分、目的はゲーム病の感染じゃないんだろ」

大我の問いに貴利矢が答えた時、永夢の携帯端末が震えた。

「病院からです」と永夢は言って電話に出る。

「もしもし、宝生です。
……黎斗さんが消えた？
分かりました、すぐに探します」

永夢が電話を切ると、ライダー達は手分けして黎斗を探すことになったが、大我は黎斗の居場所に見当がついていた。

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