リアル・ヒーローショー

22　患者 ページ24

「てめぇら……いい加減にしろ！」

大我の怒号で一同が静まり返り、大我を見る。

気まずいとは思わない。
和気あいあいと笑っていたヒーロー達を一睨みし、言う。

「俺の病院でてめぇらを受け入れたのは路頭に迷われたら困るからだ。
ここで騒がせるためじゃねぇし、ましてや機材を壊すためでもねぇ」

ぎくり、と武士が体を強ばらせる。
つい先程、医療機器が珍しくて触ろうとし、城二に止められたのだ。
もしも実際に触っていたらと思うとぞっとする。
下手すれば命の危機が迫るところだった。

「ったく、さっさと使う病室を決めろ患者共」

「患者共？」

大我の言葉に引っ掛かりを覚えたらしい健が訊き返す。
大我は鼻を鳴らし、答えた。

「ここは廃れたと言っても病院だ。
ここに泊まる奴は医者か入院患者だろうが」

言っていることはその通りであるものの、全員元気だという点はスルーされているようだ。
しかしここの家主をこれ以上怒らせるのはまずいと判断した健は簡単に相槌を打って押し黙る。

もっとも路頭に迷われたら困る、と言っているので、追い出されはしないのかもしれないが。

部屋が決まり、それぞれが散って一息ついたところで大我の携帯端末が電話がきていることを伝える。

相手を確認して電話に出た。

「もしもし。
……あぁ、今のところ問題ない。
……分かった、伝えておく。
じゃあな」

「誰から？」

通話を切ると、ニコが訊いてくる。

「エグゼイドからだ。
情報の提供と共有を頼まれた」

「何か、大変なことになった気がするね」

ニコが呟くと、大我は肩を竦めた。

「そうだな。
だが、やるしかねぇだろ」

☆☆☆

病室もとい部屋に入ったスティンガーと城二、鉄也、フレンダーは部屋を見回した。

一番端にあるこの病室は、太陽エネルギーで動く鉄也に配慮して割り当てられており、窓から柔らかな太陽光が差し込んでいる。

備え付けのベッドとその脇に設置されている棚があるだけで、それ以外は何もない。

「本当にただの病室だな」

ぽつりと零した城二にスティンガーが頷く。

「埃は被っているが、掃除すればすぐに使えるだろう」

そう言ったスティンガーの手にはバケツと雑巾が既に用意されている。
ご丁寧にバケツには水がそれなりに入っており、雑巾は濡れていた。

大我があらかじめ用意して持たせてくれたらしい。

「それじゃあさっさと済ませようか」

鉄也はスティンガーから雑巾を取り、掃除を始める。

二人もそれに続いた。

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