02 出会い ページ3
「あぁ、無事だ」
武士が答えると、少ししてから瓦礫と化した天井の一部の向こう側から一人の男性が姿を現した。
緩やかな風が彼の長い白衣の裾を揺らす。
武士は彼の片手に釘付けになった。
男性は軽やかに瓦礫から飛び降り、頭から爪先へと素早く視線を滑らせる。
「怪我はねぇようだな」
「おかげさまでな。
それよりあんた、その手に持ってるのって……」
「途中で拾った。
てめぇのか?」
肯定すれば男性からそれを渡された。
男性が持っていたのは、武士が探していたポリメットだった。
「俺は鎧武士。
あんたは?」
「花家大我だ」
短く自己紹介を終え、武士は訊く。
「……さて、これからどうしようか?
ご覧の通り詰みに近い状況だぜ」
武士の言う通りだ。
扉は開かないし、通路も崩れかけている。
行くべき道は見当たらない。
しかし、大我は平然と言った。
「何言ってんだ。
上があるだろうが」
☆☆☆
螺旋階段を登っていた鉄也は、窓から頭を出した。
太陽エネルギーを鉄也の頭についた受光部が受け止め、動力が生み出されていく。
外を見ると、巨大な建物が視界一面に広がった。
「遺跡……かな?」
鉄也は建物を見て呟く。
首を動かして外をより観察すると、鉄也がいる少し下に建物とこの塔を繋ぐ跳ね橋があることに気付いた。
あそこに行くための道なんてなかったのに、と鉄也は首を傾げる。
上がったままなので渡ることは出来ないが、降りてみれば動かせるスイッチでも見つかるかもしれない。
鉄也は窓から身を乗り出し、落ちる。
橋のたもとに着地し、近くにあったレバーを引いた。
重いものが動く音がして、鉄也は周囲を見回す。
塔の壁が動いて、橋との道が開けていた。
跳ね橋への道は隠されていたのだ。
そうしていると突然跳ね橋が降りて塔と建物の道が繋がった。
橋の対岸には銀髪の人物が見える。
鉄也はその人物に近付いた。
近くに来ると、その人物は中性的な顔立ちの男性であることが分かった。
男性が口を開く。
「あの塔にいたのか」
「うん。
僕は東鉄也っていうんだ」
「俺はナーガ・レイだ。
訊きたいことがある。
鉄也は、ここを知っているのか?」
ナーガと名乗った青年に鉄也は首を横に振る。
「いや、知らない。
ということは、気が付いたら君もここにいたんだね」
鉄也の言葉にナーガは頷き、こう提案してきた。
「鉄也、一緒にここを出よう」
願ってもない話だった。
鉄也は二つ返事で了承した。
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つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは、明けましておめでとうございます(二日遅れ)。 お疲れ様、そして返信遅くなってごめんなさい。 お仕事、すぐに始まるんだね……大変だ。 リナの小説読んだよ! 続きが気になって仕方ない(笑) でも無理しないでね。 いい一年にしよう! (2018年1月3日 0時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様でしたm(__)mそして……完結おめでとう(*≧∀≦*)いやー…よかった(〃ω〃)あたしは好きだ(〃ω〃)短編小説頑張ってなv(^o^)あたしもがんばりますv(^o^)完結目指して… (2018年1月3日 0時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)m紅白見ていた。新年から仕事(。´Д⊂)マジ泣きそうΣ(゜Д゜)更新続きを書き終わりました。また時間みてやりますm(__)mよいお年を(*≧∀≦*) (2017年12月31日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは。 お疲れ様! 仕事納めがあったんだね。 ゆっくり休んでね。 小説はいよいよ最終決戦です。 リナも無理しちゃ駄目だよ。 体調に気をつけてね。 よいお年を! (2017年12月31日 20時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)mありがとう(///∇///)今年最後の夜勤終わったm(__)m更新遅くなるけど話書くからm(__)m話ありがとう(///∇///)無理しないでね(。´Д⊂)体調崩さないでね(。´Д⊂) (2017年12月30日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つっつまー | 作成日時:2017年11月19日 0時