リアル・ヒーローショー

18　再会 ページ19

「鉄也君って、何かバクスターに似てるよね」

「そうかな？」

「そうだよ。
元々人間だったところとか、機械みたいなところとか！」

「僕は機械みたいじゃなくて、機械なんだけどね」

CRでポッピーピポパポと鉄也の会話をBGMに、大我は神を自称する男、檀黎斗が行う作業を見つめていた。

黎斗が現在行っているのは、没ステージと没キャラのデータの削除だ。
大我がまた勝手に没キャラ達に動き始められたら困る、という理由で依頼したのである。

黎斗も特に困ることはないので、さくさく進めているのだった。

「……よし、これで一通り削除出来たはずだ。
今の幻夢コーポレーションのほうまでは分からないが、まだ没が出来る程進んでいないだろう」

「悪いな」

「構わん。
いずれ使うかと思って、結局肥やしにしていただけのもの達だ」

黎斗はさらりと言い、それよりも、と鉄也に視線を向ける。

「あの新造人間とやらとその仲間はどうする気なんだ？」

「元の世界に帰す、と言いたいところだが、難しいのが現状だな。
てめぇの技術力でも無理なんだろ？」

「そもそも私は神である前にゲームマスターだからな。
異世界などには興味がない」

出来ないのは当然だ、続けた黎斗に、だろうな、と大我は頷く。

遺跡で大穴を空けて脱出させてくれたのは黎斗だ。
だがそれが可能だったのは、あの遺跡が黎斗の作った没ステージだったからに過ぎない。
残念なことに、彼が神でいられるのはゲーム関係においてのみなのである。

すると、突然鉄也がCRの外を見て、走り出した。

「鉄也君！？
病院内は走っちゃ……行っちゃった」

ポッピーピポパポの制止は間に合わなかった。

☆☆☆

「ここのはずなんだが……」

「普通の病院、よね」

青年と少女が不思議そうに病院を見上げる。
ワン、と少女の足元にいた犬型のロボットが鳴いた。

「どうしたのフレンダー」

少女がロボット、フレンダーに尋ねると、フレンダーは答えずに病院へと歩き出した。

「ちょっと、フレンダー！」

慌てて青年と少女が追いかけるが、フレンダーは病院内にあっさりと入っていく。

突然犬が入ってきたのだから病院は大騒ぎだ。
追い出そうとする医師や看護師の間をすり抜け、フレンダーは一直線に走っていく。
角を曲がったところで、フレンダーの主人の声がした。

「フレンダー！」

反対側から走ってきた鉄也がフレンダーの名を呼んで、嬉しそうに抱きしめる。

鉄也が愛犬と再会した瞬間であった。

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