リアル・ヒーローショー

16　終わらない ページ17

キャシャーンに剣を折られた少女は驚きに目を見開いたが、すぐに笑い出した。

「ふふっ、凄いわ、本当に凄い。
でも意味ないの」

そう言って折れた剣を投げ捨て、少女はどこからともなく新しい剣を取り出して構える。

全ての異形を倒した他の者も少女の攻撃に加わり、形勢が逆転し、ヒーロー達が有利になった。

再び異形を生み出そうとする少女の脳天に、キャシャーンのチョップが直撃して少女は倒れて動かなくなった。

相変わらず少女に傷はない。
だが動かなくなったことから、全員が勝利と判断した。

必殺技を使うでもなく、静かにボス戦が終了し、変身を解いた、その時。

上空に大穴が開き、四人を吸い込み始める。

「やっと来たか」

「……っ、おい、何だよ、これ！」

必死に抵抗する武士が大我の呟きを聞いて尋ねる。

「ここから出られるってことだ」

大我はそう答えると、大穴に吸い寄せられていく。
近くにいたナーガが大我を掴もうとするが、動いたせいでナーガも大穴に吸い寄せられた。
やがて、武士と鉄也も抵抗しきれずに大穴に吸い込まれた。

直後、四人を吸い込んだ大穴は用事は済んだとばかりに消滅する。

取り残された少女が目を覚まし、妖しく笑う。

「残念ね、本当に残念なの。
ショーはまだ、終わってないの」

☆☆☆

武士は目を覚ますと、のろのろと首を動かした。

「鉄也……？」

「武士、起きたんだね」

武士が普段の呼び方ではなく名前で呼ぶと、鉄也はすぐに反応してくれた。

「まぁな。
正直、起きたばっかで何がどうなったのか、分かってないんだけど」

「そうだよね。
簡単に説明するよ」

鉄也はそう言い、ここは大我が生きている世界で、今いるのは彼の病院であること、彼の仲間があの大穴を開けて自分達を遺跡から脱出させたことを説明した。

「なるほどね。
ところであの遺跡は何だったんだ？」

「僕達を助けてくれた仲間の一人が開発したゲームの没キャラと没ステージらしい。
ただ、異形は作った記憶がないし、どうして没キャラがこんなことをしていたのかは分からないみたいだけど」

「あー！
大我、起きたよ！」

鉄也がそう答えた直後、少女の大声が病院内に響き渡った。

「ったく、少しは怪我人に気を遣えねぇのか、お前は」

程なくして大我が現れ、武士のところまで歩いてきた。
後ろにはナーガもいる。

二人共怪我をしているらしく、所々に絆創膏や包帯が見えた。

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