リアル・ヒーローショー

12　見えた姿 ページ13

「よく瓦礫の下に台座があると分かったな、鉄也。
ゴイスーだ」

「僕が完全に調べていなかったのはあそこくらいだったから。
本当にあったのは驚いたけど、僕はそれよりもナーガがここまでついてこれたことに驚いてるかな」

ナーガの称賛に鉄也がそう返すと、ナーガは首を傾げる。

「そんなに難しいことなのか」

難しいに決まっている。

遺跡の壁はところどころ崩れているお陰で足場のようなものはあるが、そこを伝っていくのはかなり体力がいるのだ。
鉄也は新造人間であるため体力はエネルギー切れを起こさない限り続くが、ナーガはそうはいかないはずである。
しかし、ナーガはぴったりと鉄也の後をついてきたのだ。

「……元怪盗の本気ってことにしておくよ」

さて、と鉄也は鏡に反射した光が当たっている壁を見つめる。
その壁は動かせるようになっていて、ここに何かあると言わんばかりだ。

鉄也は万が一に備えてキャシャーンの姿に戻り、壁を動かす。
重い音を響かせながら壁が動き、通路が現れた。
しかし、その通路は肌色の何かで埋められている。

その肌色が何なのか気付く前にキャシャーンは吹き飛ばされた。

「鉄也！」

ナーガが驚いた表情で手を伸ばしてくる。
彼の真顔以外の表情を初めて見た気がした。

その瞬間、ナーガが別の誰かと被って見え、キャシャーンは一瞬だけ目を見開く。

それが何なのかを考えるよりも早く、キャシャーンは伸ばしてきたナーガの手を掴んで、崩れたお陰で足場となった壁に立つと肌色を睨んだ。

肌色の正体は異形だった。

狭い通路から身を捩って這い出てナーガに襲いかかる。
ナーガは小さな足場代わりの壁を伝って移動しながら少しずつ異形達を撒いていた。

その隙にキャシャーンは足場を蹴り、異形達に攻撃を加える。
異形はキャシャーンの攻撃でどんどん落下していき、数が次々に減っていった。

ナーガもヘビツカイシルバーとなったらしく、逃げの姿勢だったところから一転し攻撃していく。

全ての異形を倒してから、ナーガはスターチェンジを解除して通路を覗き込んだ。

中はまさしく闇に包まれており、鼻の先すら見通せなかった。

「鉄也は、ここで待っていてほしい」

ナーガが鉄也の姿になったキャシャーンに声をかけた。
もう彼が別の誰かと被って見えることはない。

鉄也は無言で頷き、闇に溶けて見えなくなるナーガを見届ける。

「……武士」

鉄也はぼそりと呟いた。

ナーガに被って見えたのは、ポリマーの姿だったのだ。

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