01 疾走 ページ2
一人の少女が、壁に張り付いたスクリーンに映し出された映像を見つめている。
やがて、少女は瞳を輝かせて呟いた。
「素敵ね、本当に素敵よ」
☆☆☆
東鉄也はパチリと目を開け、飛び起きた。
何があったのかを思い出すべく脳を素早く回転させる。
何かが起きて、自分は気絶してしまった。
それは覚えている。
しかし、何が起きたのかの記憶が曖昧だった。
誰かが自分の名を呼んで、手を伸ばしてきたような気がするが、それが誰なのかすら分からない。
鉄也は一度考えるのを止めて状況の把握を優先した。
鉄也のいる場所は屋内だった。
日の光がぼんやりと入り込んでいる。
見上げれば天井は見えないほど高く、壁には螺旋状の階段が設けてある。
床は円形で、鉄也がここは塔なのだ、と理解するまでに時間はかからなかった。
「……まずい」
鉄也は思わずそう零した。
鉄也は新造人間である。
その動力源は太陽エネルギーであり、それがなければ目が見えなくなってしまうのだ。
このぼんやりとした光だけでは、いずれそうなる可能性が高い。
まだ動ける今のうちに動かなくては。
鉄也は階段を登り始めた。
☆☆☆
鎧武士は細長い通路を必死に走る。
力強く蹴ったところがガラリと音を立てる。
どうやらこの通路は随分と崩れやすいらしく、先程の状況は初めてではなかった。
「くそっ!」
武士は悪態を吐いた。
武士の後ろでは異形達がうごめいている。
色々な動物の一部を切って繋げたようなアンバランスな形をした、人の肌と同じ色の怪物。
その怪物達は武士に真っ直ぐ向かってきていた。
ポリメットがあれば転身して戦うことも出来るが、肌身離さず持ち歩いていたそれが今回は見当たらない。
生身でも戦うことは出来るものの、不安が残るためにそれは最終手段として残している。
通路をひたすら進み、その先にあった扉のドアノブを掴んで押した。
「開かねぇ……!」
押して駄目なら、と今度は引いてみるも結果は同じだ。
後ろを振り返れば、そこにいるのは異形達が迫ってくる。
動きは緩慢だが、それ故に恐怖を感じる。
仕方ない、と拳を握り、構えたその時だった。
「伏せろ!」
何者かの声がして、武士は慌てて伏せる。
弾のような何かが天井に当たり、天井の一部が音を立てて崩れ、異形達が下敷きになる。
辺りにはもうもうと煙が立ち込めた。
「無事か」
そこに「伏せろ」と言った者と同じであろう人物の声が聞こえてきた。
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つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは、明けましておめでとうございます(二日遅れ)。 お疲れ様、そして返信遅くなってごめんなさい。 お仕事、すぐに始まるんだね……大変だ。 リナの小説読んだよ! 続きが気になって仕方ない(笑) でも無理しないでね。 いい一年にしよう! (2018年1月3日 0時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様でしたm(__)mそして……完結おめでとう(*≧∀≦*)いやー…よかった(〃ω〃)あたしは好きだ(〃ω〃)短編小説頑張ってなv(^o^)あたしもがんばりますv(^o^)完結目指して… (2018年1月3日 0時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)m紅白見ていた。新年から仕事(。´Д⊂)マジ泣きそうΣ(゜Д゜)更新続きを書き終わりました。また時間みてやりますm(__)mよいお年を(*≧∀≦*) (2017年12月31日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
つっつまー(プロフ) - リナっちさん» こんばんは。 お疲れ様! 仕事納めがあったんだね。 ゆっくり休んでね。 小説はいよいよ最終決戦です。 リナも無理しちゃ駄目だよ。 体調に気をつけてね。 よいお年を! (2017年12月31日 20時) (レス) id: 6cb1a01a88 (このIDを非表示/違反報告)
リナっち(プロフ) - つっつまーさん» こんばんはm(__)m更新お疲れ様m(__)mありがとう(///∇///)今年最後の夜勤終わったm(__)m更新遅くなるけど話書くからm(__)m話ありがとう(///∇///)無理しないでね(。´Д⊂)体調崩さないでね(。´Д⊂) (2017年12月30日 20時) (レス) id: 79a0b77c82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:つっつまー | 作成日時:2017年11月19日 0時