19:『一松事変』 一松side 奇人への告白 ページ19
『今までずっとイタいなあって思ってたんだけどさ、よくよく見ればカッコイイじゃん?実は試しに着て見たかったんだよね〜』
いいな〜! 俺もこんな正直に言えてたらなあ〜!!
そしたら友人に見限られることもなかったんだろうなあ〜!!!
こんなめちゃイタい茶番なんぞしなくてよかったんだろうなあ〜!!!
クソ、目から汗出てきた。
『んん? 何かすんごい汗出てるよ? ……大丈夫?』
もういい、自分を偽るのは止めにしよう、一松。
正直に一言、告白すればいいだけの話だろ?
俺も着てみたくてやってしまったんだと……。
『ねぇ、ホント大丈夫?』
「風邪だと言っただろう。もしかしたら少し熱があるのかも……」
言えなーい
言えるわけなーい
つか無理ー!!!
ここで正直に言えてるならもう言ってるぅー!!
人間の友達だってちゃんと出来てるぅー!!
『体冷えるよ? 脱いだ方がいいんじゃない?』
「いやいや……大丈夫だから」
『その汗だよ? こじらせちゃうんじゃないの?』
「嫌だ!」
『何で!』
「……恥ずかしいのっ!」
『は? 何で!?』
「俺は……! A、お前が好きなんだよっ!」
自分で言っててびっくりした。
ちょっと待ってちょっと待って!
俺はこんな頭がへんちきりんないとこなんて好きじゃないぞ!?
こんな変人ないとこなんてこれっぽっちも好きじゃないぞ!?
体が拒否反応を起こすよ!?
無理だよ!?
『カラたん……!? ホントどうしたの……!?』
「お前といるとすごく落ち着くなあ、毎日楽しいなぁって最近気づいて……
だからお前の前で薄着になんかなったら……」
『え、うそでしょ』
「……嘘じゃないぞ、子猫ちゃん」
ぞざざざざざざ
さて問題。この音は何の音か。
さて回答。Aが青ざめながら後ずさる音。
何で俺らに対する押しは強いのに、逆になるとこんな弱いんだよ!?
限界だ……何で俺はこんな嘘までついて……もう助かる道はAを一刻も早く追いだすしかない。
「A」
『……あい』
「この諭吉先生で好きなだけ好きなもの買って来い」
『え!? いいの!? キャッホーウ!!!』
俺の手からひらりと諭吉先生を奪い取り、熱い抱擁をするA。
口止め料だと思えば安いもんだ。本音はかなり悔しいけど。
さっきの爆弾発言は冗談で切り抜けよう。
しかし世の中上手くいかない。
ついに、最悪の場面になってしまった。
カラ松が――――起きやがった。
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作者名:周期 | 作成日時:2016年7月28日 19時