10.またあとで ページ10
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和也「ねぇ、」
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エレベーターが上昇して、変な重力が身体にぐっとかかる。
呼ばれて振り向くと、テレビでたまに見てるあのアイドルと目が合うんだから
これ、心臓に悪い。
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「な…何ですか？」
和也「ちなみに俺が誰だか知ってる？」
「嵐の二宮…さん。」
和也「呼び捨てかよ！(笑)」
「さん付けたし！
それに、初対面から馴れ馴れしく話しかけてきた人に言われたくないです！」
和也「馴れ馴れしかったっけ？」
「最初からタメ口叩いてたじゃないですか。」
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思い返せば、私に対して敬語というものを使ってない。
最初から今の今まで。この人。
辛うじて私はトップアイドルへの敬意を払ってるっていうのに。
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和也「というか俺のこと知ってたんだ。」
話が変わって、少し意外そうな顔をする二宮。
「知らないわけないですよ。」
和也「てっきり知らないんだと思ってた。」
あの国民的アイドルを知らないと思われてたなんて
この人どれだけ私を甘く見てかかってるんだろう。
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ちょうどその時、エレベーターが私の押した階に到着する。
ピンポンと鳴った後、開くドア。
出ようと一歩踏み出して、去り際に振り向く。
「そういえば私、二宮さんが今度主演されるドラマの衣装協力やってるので。」
和也「え、あ、俺のだったの？」
「女優さんの方ですけど。」
では失礼します、と一度頭を下げておく。
これ以上同じ空気吸ってたらいろいろペースを崩されそうな気がした。
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いらない情報話しちゃったかな…
なんて頭の片隅で考えてたら
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閉まろうとしたドアが手で押さえられて
和也「ねぇ、」
背中を向けようとした私にまた、声がかかる。
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和也「これから行こうとしてるのってスタジオの方？」
「え？あ、はい…。」
和也「そうしたらたぶん、後で俺も来るから。」
「え？」
和也「んじゃ、またあとで。」
そう言うと、ドアを押さえていた手を放す。
完全に閉まる直前に、自分の目的の階を押した二宮。
あの犬顔がエレベーターの中に消えてく。
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「･･･。」
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またあとで。
また会わなきゃいけないの…？
というか、うーわー
“二宮さん”って呼んじゃった。
口がちょっと…ううん、だいぶムズ痒い。
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「(黙ってればカッコイイだけなのになぁ。)」
閉まったエレベーターの前で私は、ぽつんとそんなことを考えた。
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作者名：ハロ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/list/helloamnos/
作成日時：2013年10月22日 18時
