涙の別れ。愛しすぎたキス ページ37
苦しむ健二郎の言葉
なんにも返せない私に
なんにも答えられない私に
健二郎はドスって私を引っ張ってベッドに倒して
それから強引なキスをしたけど
私にはそのキスは哀しいだけのキス…でしかなかった
暖かくて
優しくて
そんないつも交わしてきた甘いキスと
そのキスと
あまりに違いすぎて
苦しくて
苦しくて
そして…やっぱり苦しくて
泣きながら私はそれを拒んだ
真上にある健二郎の顔は
影になってはっきり見えなかったけど
健二郎も私と同じような顔をしてた
苦しくて
愛しくて。
たまらないくらいもどかしく寂しい…そんな顔
ははっ
健二郎は笑ったけど
わしゃわしゃといつもみたいに私の髪をなでたけど
それでもそれは
_あの頃…_を返してはくれずに
『すまん。お前.マサカズんとこ泊まってくれ…マサカズには俺から連絡するから』
健二郎の言葉はそんなカタチを描いた
もう終わりなんだ…って。完璧に思った
もう戻れないんだ…って。哀しい程.理解した
だから最後に私は
_愛してたよ本当に_ そう健二郎に告げた
もう "愛してる" じゃなくて "愛してた" …
今も本音は変わらずに "愛してる" けど
それだけしか言えなかった…
それだけしか言えなかったけど健二郎は
…"俺も"… そう返した
それは今も本当は…本当は "愛してる" なの?
聴きたくても聴けなかった
東京
健二郎の家からさほど離れていない場所に暮らすマサカズが私を迎えに来るまでに
時間は1時間も要さなかった
『マサカズ…ごめん…』
『いや。梨香の方が迷惑掛けたんだと思うよ』
『…それはない…俺は幸せやったから』
マサカズと健二郎の会話は少しだけ続いて
マサカズは私の荷物に手を掛けながら『ほら梨香行くぞ?』って言った
そしていつまでも動かない。
…動けない…
そんな私の腕を荷物と反対側の手で掴んで
ズルズルと私と健二郎を引き剥がしていった
最後に見た健二郎の顔は
三代目とか
"ふつう"の健二郎とか
そんな括りじゃなく
マサカズの友達の山下健二郎として
寂しそうな。
苦しそうな
泣きそうな
そんな顔で私とマサカズを見守っていた
もし私が三代目ごと健二郎を愛していられたら
もし私があんな事を言わなかったら
もし私が健二郎の仕事全て理解していられたら
そんなふうに
たくさんの "もしも" が浮かんで
三代目と健二郎を1つに結び合わせたけど
それは心の中にポツンと灯火を点して
それからすぐに……消えた…
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梨香(プロフ) - にゃりんさん» あと。楽しんでくれて本当にありがとう…この作品は私にとってSpecialなので褒めてもらえるとホッとするよ (2019年8月28日 18時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - にゃりんさん» いひひ。最後はどーなるのかなぁ(笑)…女の子が夢中で健二郎を好きなコトと情景がいい塩梅に描けてたら嬉しいな…☆ (2019年8月28日 17時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
にゃりん(プロフ) - 梨香さん» なんかね、恋愛に純粋だった頃を思い出すね。にゃりんぐらいおばちゃまになってから読むと心が洗われるね(笑) 日記っぽく書いてるから余計かな〜。終わりは日記調じゃない方がよりリアルかも! なーんて偉そうに言ってみたけど、つまりは楽しく読んでます(爆) (2019年8月28日 17時) (レス) id: 71dba2f90e (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - にゃりんさん» にゃーちゃんだからこそ聴きたい!この作品どんな? (2019年8月28日 12時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
にゃりん(プロフ) - 梨香さん» なるほどね〜♪等身大のお話だからリアルなんだね!!それを踏まえてもう一度読みなおそーっと(笑) (2019年8月28日 12時) (レス) id: 71dba2f90e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨香 | 作成日時:2019年8月27日 11時