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「…っ、いって」
自身の片脚からの出血を見てAは力なく笑った。腕も片方は使えないのだろう、赤く染まった制服を逆の手で押さえいる。
「喋るなクソ!!だから一人で行くなって行っただろ!!」
他を考える余裕などないのにリヴァイの背後からもう聞き飽きた巨人の足音が鳴り響く。Aはだるそうな目でそちらを見てリヴァイを呼びかけた。
舌打ちして、血に塗れているAの刃を手に持つ。巨人にアンカーを伸ばし雑にうなじを削ぎ落とした。リヴァイとて色々と考えてる余裕はなかった。
崩れ落ちる巨人の姿を見てAは微かに笑う。
「……なに笑ってんだよ、変態」
「いや、通常種なんてほんとに雑魚キャラだったなと思ってさ」
A達の側にはあの奇行種が2体倒れていた。この巨人を奇行種だと済ませてしまっていいのか疑問だ。
「それでも相打ちなら褒めて欲しいよね」
「ふざけんな。何が相打ちだ」
Aは本当によくやったとリヴァイは思う。後から情報は入ってくるだろう。この奇行種に一体どれだけの兵士がやられたか。
しかしリヴァイは、例えAの行動が勲章に値するものであったとしても万人に讃えられようとも、認めるとこは絶対しないだろう。
「なにその顔。…いいや違う。ごめんねリヴァイ。わたしは絶対リヴァイを1人にしないって決めたのになあ…」
しかもAは、こんな時までリヴァイの心配をしだす。
目閉じたA。改めてまじまじ見ると綺麗に整った顔。頬につびり付いた血さえ上手に纏った。
そのまま寝てしまいそうなAの頬をリヴァイは指が摩る。目を開けたAは、自然光に眩しそうにしながらもリヴァイを見た。
「寝るな。ずっと俺を見てろ」
「なにそれ、プロポーズかよ」
「そんなクサイ台詞は使わねえよ」
「へぇ。聞いてみたかったな、リヴァイのプロポーズ」
「帰ってから聞け」
「………楽しみにしてるよ」
2人の間に流れた変な沈黙には触れないようにした。とりあえずAをおぶって帰らなければならないと、リヴァイは少し焦っていた。
「ほら」とAに手を差し出す。Aはリヴァイの手を見つめて悲しそうに眉を顰める。
「…ねえリヴァイ」
「なんだよ」
「私が死ぬ覚悟が出来てないと思ってる?」
そういうのは、一番言って欲しくはなかった。
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さや - めちゃくちゃ面白いです、、文才能力高すぎません?? (8月29日 1時) (レス) @page28 id: da00e1cc19 (このIDを非表示/違反報告)
彗瀬 スイセ.(プロフ) - これ、、、もっと、、早く見つければよかった、、、、人生半分は損してると思う、、、、、最高です;−;無料で見てていいのか疑うぐらい好きです;−;お金払いたい!!!!!!また暇になったら第3段を!第3段を私達に恵んでください神様!!(深夜に失礼しました) (2020年9月5日 1時) (レス) id: 89fd83fb56 (このIDを非表示/違反報告)
kiehl(プロフ) - 最高に面白かったです今までみた物語の中で1番楽しかったです!! 是非続編を、、なんなら第3弾お願い致します、、!! (2020年6月21日 22時) (レス) id: 1414bb41f6 (このIDを非表示/違反報告)
天雪(プロフ) - 18ページ、最初らへん104期生が14期生になってますよ。細かくてすいません(´-`) (2020年4月29日 15時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
やまみず(プロフ) - とても面白いです!!これからも頑張ってください!! (2019年11月3日 4時) (レス) id: 2bdd2e1078 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2019年9月25日 0時