狂い咲けよ、アイの花 【オリジナル】【完結】

花 11 ページ11

「怖くない？」


「全然怖くないですよ」


「でも、手、震えてる」


「すぐに治まります」




ベッドの上で横たわる春馬


その上に馬乗りをする形で、私は乗っている。震えているのが一目でわかる私の手を、そっと包んでくれた。昨日あった出来事が脳裏にフラッシュバックされ、その事を思い出す度に手の震えが止まらない


けれど…… 春馬の体温がそれをかき消してくれる。ブルブルと震えていた手は、一気に治まり、何事も無かったかのように手は震えるのを止めた
まだ日が昇る前。暗闇に包まれていた夜空は、少しずつ明るさを取り戻しつつあった


その明るさが少しずつ取り戻されると、私の手に持っている綺麗な銀色の刃物は、光を反射しはじめる


その刃物に舌を這わせる。その姿を見て、春馬は口角をそっと上げる。きっと興奮でもしているのだろう、目が思いっきり笑っているんだ
これから自分を殺めようとしてる人間を見て興奮するなんて……





「(なんって素敵なんだろう……！！)」





春馬に釣られ、私もニヤつく


表情だけで煽られるなんて変な性格をしている。けれど、今はそんなのどうでもいい
やっと、やーっと…… 自分のモノに出来るんだ。いつもいつも捨てられたり、奪われたりした大切なモノを、やっと自分のものにする


こんな…… 人生で最高な日はないだろう……！！





「それじゃ、殺るよ」


「あぁ…… 頼む」


「うん……
それとね、春馬」


「ん？何？」






『愛してる』





綺麗な銀色の刃物を上に上げ、そして、振りかざした

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