第134話 敵が空気 ページ44
「クフフフ。ウォーミングアップは済みました」
なかなか楽しませてもらいましたよ。
「ちょっと骸兄、なにオレの可愛い可愛い妹を泣かせてんだよ」
「サイッテー」
「雪那、真美……こ、これには訳がありまして、決して雪華を泣かせようとしたつもりは…」
「「問答無用！！！」」
ちょッ、的確に急所を狙ってこないでください！！
「ひっく、うっく…」
「骸さんがごめんね」
「泣き止むびょん、雪華！ ほれ、飴やんよ」
「こすっちゃ駄目だよ、腫れるから」
誰か！！ この二人を止めてください！！
「殺したと思った敵は全て幻覚だっただと！？」
「ク、クフフ。その通りです。戦いの最中、幻覚に切りかわっていたのですよ」
「……(咬み殺したい)」
クフッ、雲雀恭弥からの殺気なんて感じていませんとも！
「おーい、フラン」
「ハーイ、センパイ」
「幻覚で敵をダマすのはいーが、わざわざオレ達を殺してみせる意味あったのか？」
「わかってないなー、ベルセンパイ。リアリティのためですよ、幻覚っていうのはドッキリみたいなもんですからー。ねぇ師匠？」
うっ、今の蹴りは効きました、さすが真美…
「ちがいますよ」
「あれ…」
「てんめー」
「じゃあアレですー、師匠のスプラッタな趣味全開ですー」
「ちがいますよ」
おや。手がすべっておチビさんの頭を三叉槍で突き刺してしまいました。
「師匠イタイですー。やめてくださーい」
「今回の幻覚の目的は2つ。僕のウォーミングアップと、真六弔花の能力を引き出しデータをとることです。実際、幻覚で彼らに程よい優越感を抱かせることにより、ブルーベルの絶対防御領域、そして桔梗の地中からの攻撃データを得られました」
「なーる」
「なーるじゃねーよ！」
おやおや。ベルフェゴールがお怒りだ。
カエルの被り物にナイフが突き刺さる。
幻術の腕は上がっても、頭脳の方は成長しませんねおチビは……まったく。
「このようなダメ弟子を預かっていただいていることには感謝しますよ、XANXUS」
「……」
無視ですか！！ 師匠のことは妹かのように可愛がっているくせに！！ 視線くらい寄越したっていいでしょうに！！
「つーか生きてたのかよ、スクアーロ。超がっかり」
「ぬぅ。生きておったか」
「次期作戦隊長はアタシだと思ったのに〜」
「約3名、隊長の生存を本気で残念がってますー」
「う゛お゛ぉい！！ てめーら、ざっけんなぁ！！」
「るせぇ！！ カス！！」
敵が空気になってますねぇ。
第135話 大切な人たちが生きるこの世界は→←第133話 ぜーんぶ幻覚
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
