第129話 手遅れ ページ39
クロームside
雪那たちに見送られた私は骸さんを探して森の中を走り回っている…………丸焼きにしたい。
いくらユキさんの無茶苦茶な修行のお陰で体力があるとはいっても、戦闘の時にダウンしてたら話にならない。
何か目印でも…
「クローム髑髏！！」
振り向くと、真美よりも明るい赤い髪をした女の人がゲッソリした表情で立っていた。
「白フクロウと眼帯……間違いないわね」
「誰？」
「私はM・M」
「昔、骸さんたちと黒曜ランドで戦った……？」
「そうよ…………あんた、骸ちゃんの妹弟子でしょ？ あの師匠好きどうにかして……いい年してシスコンこじらせたみたいな骸ちゃんには正直ドン引きよ…」
そんなこと言われても…
「もう手遅れだと思う」
「……」
あっ、チベスナ顔って初めて見た。
「はぁ。骸ちゃんにはこの道をまっすぐ行くと会えるわ」
「ありがとう」
◇◇◇
「師匠、いじけるのやめてくださーい。ジメジメしすぎてナッポー頭にカビが生えそうですよー」
「誰がナッポー頭ですって？」
カエルの大きな被り物をした人が三叉槍で頭を刺されそうになっていたので匣を骸さんに投げる。
「！ おっと。乱暴な扱いは感心しませんよ、クローム」
「ナイスですー、クローム姉さん」
「誰？」
未来の骸さんの弟子で、フランというらしい。
「そうでした、聞きたいことがあります……ミドゥーザという男は誰なんですか！？ 師匠とはどんな関係なんですか！？」
真剣な顔で何を聞いてくるのかと思ったら…
犬と千種を見ると呆れた顔で肩をすくめられた。
千種じゃないけど、面倒くさいから教えないでおこう。
「千種、作戦は？」
「骸さんとフランで大規模な幻術をかけて敵の戦闘データを取るんだって。でも、昨日のユキさんの匣兵器を使った通信以来あの様子で……めんどい」
「ユキはどうしたんら？」
「ユキさんはネヴェリータ・ディティーマファミリーのボスと戦ってて、昨日の通信から連絡はないの。夜明け前に大きな爆発音があったから決着はついたんだろうけど…」
私たちの師匠が負ける筈ないけど……心配。
「クローム、君にも僕らの作戦に加わってもらいますよ。というか、それよりもミドゥーザとは誰なのかいい加減に教えてくださいよ！！」
「……」
「ウザイですー、しつこいですー。クローム姉さん、やっちゃってくださーい」
「ちょッ、クローム待ってください！ 三叉槍を収めて……クハッ！？」
やっぱり手遅れだと思う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
