転生したら三浦ハルの姉に!? モブだから静かにひっそり大暴れするよ! part11 (ページ30)

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第120話　梅木の竜ページ30

未だ体の内側で喰らった“消滅”の炎と格闘しているのだろう、反抗期野郎が憎々しげに口を開く。
しかし、そこに回復の時間は与えないというかのようにミドゥーザの指示が飛ぶ。

「開匣！雷クラゲ！！一発電撃をよろしくネ！！」
「くッ……！！まだ、無理か……ッ！！」

先ほど受けたアルジェの“消滅”の炎の影響で、今しばらく炎を吸収できそうにない反抗期野郎は回避しようとするが、

「なにッ……！？」

何故か脚が動かせない。
はっとして見下ろせば、雨の炎が付着している。

「(ま、まさか……これは、三浦ユキが無意味にも繰り出す打撃を受けた箇所……！！)」
「縺(もつ)れろ！！！」

バリバリバリッ！！

雷の炎の奔流が夜を照らす。
“鎮静”により衰えた筋肉のためにその場を動けない反抗期野郎は槍に大空の炎を灯し、回転させながら雷の炎を“調和”させていく。

「……？」

しかし、その耳が異音を捉える。

「(それに大きな炎の気配を感じる…………雷の炎のさらにその奥、だと！！？)ま、まずいッ……！！！」

気づくのが遅すぎだ、万年反抗期＆厨二病の慢心悪霊め。
【ほ、本当のことすぎて弁解できねェ…】
雷クラゲの放つドでかい雷の炎はあくまで二つ目の陽動……本命はこっちだ。
お梅ちゃんの柄頭についた二つの黄金(きん)の鈴が鳴る。

『冥途の土産にとっておきをくれてやる！！！』

あまり剣術が得意でない私が頑張ってものにした技を喰らえ。
月明りに鈍く光る切っ先を夜空に向け、刀身にアルジェの炎と私の炎とを走らせる。

『雪魄氷姿ッ！！！！』

白銀に煌めく美しの剣(つるぎ)を向かって右から地に平行になるようにして薙ぐ。

ピキッ、バキッ……バキャキャキャキャッ！！！

雪の炎から次々に生み出される氷同士がぶつかって凄まじい音を立てながらドでかい竜の姿を形成し、反抗期野郎に一直線に進む。
ただ竜の形をした氷の塊が、言いようのない圧をもって地を凍らしつつ迫る。

オオオォオオォオオオ！！！！

『梅木の竜ッッ！！！！！！』

氷竜が雷の炎の奔流を“消滅”させながら牙を剥く。

「か、回避は……」

――――できないッ！！！

額に脂汗が浮かび、月の映る地に落ちる。