第110話 怖いのは当たり前 ページ19
「無理なんだよ……ユキ様は変わらず黒兎と戦ってるけど、“凍結”の特性しか使えない僕らじゃ勝てっこない。それに黒兎の修羅開匣は厄介で、炎を通さない体だし他人の炎を吸収しちゃうし…………怖いんだ」
「……怖くて、当たり前だと思う」
「！」
「十代目…」
だってオレも、いくら骸やXANXUSたちと戦った経験があるって言っても、怖いものは怖い。
本当は戦いたくなんてちっともない。
でも。
「でも、ここで逃げたらいけないと思うんだ」
「……」
「……ふっ飛ばされる前、母さんに何か言われなかったか？」
「…………その腑抜けた顔、どうにかしてこい……って」
「きっと、ユキさんのことだから、気分転換してきなさいって言いたかったんだと思う」
クロームの考えに、雪那くんや真美ちゃんたちのユキさんに関わりある人が苦笑いする。
「気分転換にって人をふっ飛ばすところがまた、ユキお姉ちゃんらしいよねー」
「ヘタすりゃコイツは着地できずに仏になってたがな」
「γお兄ちゃんの言う通りっ！」
てゆーかなんでそんな納得顔してんの？？
「……私も、経験したことあるから」
「えぇーー！？ クロームも投げ飛ばされたことあるの！？」
「あっ、あたしも！」
「そーいえば骸兄と犬兄も投げられてたような記憶があるな」
うそーー！？ ユキさん、ムチャクチャすぎーー！！
「とりあえず、ユキと連絡を取ってソイツの無事を伝えた方がいいんじゃないか？」
ラルの言葉に、今度は正一くんが顔を暗くする。
えっ、どうしたんだろう？
「それが……ユキさん、チョイス中に通信機を壊しちゃって…」
「ユキさん何してんのーー！！？」
「はぁ。仕方ねぇ、ユキだからな」
「まぁ……ユキさんだから」
「γもクロームも、ユキさんだからって納得しちゃうんだ…」
ミドゥーザはぽかんと呆けた顔をしている。
ガサッ…
「「「「！」」」」
て、敵っ！！？
現れたのは、雪の炎を纏う掌に乗るくらい小さな狼だった。
「ユキお姉さまの匣……アルジェですね」
「だが、チョイスで見たアルジェより小さいぞ……まさか形態変化した姿か？」
リボーンの推測をミドゥーザが肯定する。
「そう。ミニアルジェは全部で五匹いて、うち四匹は諜報・偵察・通信・記録及び撮影をしてくれるって言ってた。最後の一匹はユキ様と一緒にいるヨ」
「なるほど。んじゃ、このミニアルジェでユキと連絡できるってことだな」
す、すげーー！！ 超ハイスペックじゃん！！
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
