第98話 負傷者ゼロ ページ7
突然の指示にも関わらず、私の声に従ってボスが姿を隠していたトリカブトを攻撃してくれる。
ガキッ！！！
「何！？」
次は…
「下！ ずっと下！！」
「すごい……クロームお姉ちゃんにはトリカブトが見えてるんだ！」
「右！！」
「あっ、幻覚がとけていく……！」
次々とボスの攻撃をまともに食らったトリカブトが幻術を展開できなくなり、姿を現す。
「ム〜！ 聞いてない！ ボンゴレ匣なんて！！」
「(厄介なのは匣兵器そのものより彼らの戦い方ですね)手伝いましょうトリカブト。1対1なら勝てるものをああもサポートされては」
何を言ってるの？
「これがボンゴレファミリーの戦い方だぞ」
「！！」
雨イルカに乗ったアルコバレーノ……リボーンが桔梗に向け発砲する。
「ボンゴレファミリーの強さは、個々ではなくファミリー同士の連携にある」
「アルコバレーノ！！」
「おじさま！！」
あっ……晴の人。
「その通りだ！！」
「！？」
匣兵器のカンガルーと一緒に宙に浮いている。
「仲間のピンチの時こそ！！ オレのリングは極限に燃える！！」
「それに！ あたしたちやジッリョネロもいるんだから！！」
真美ちゃんの言う“あたしたち”はきっと、雪那や雪華のことかな……ユキさんの弟子だって言ってたし。
戦いが終わったら、話してみたいな。
「ブ〜〜……もう怒った！！」
あの子も……胸に匣が…
開匣しようとしたところで、しかし桔梗に静止される。
「待ちなさい。ユニ様を確実に無傷でお連れするにはもうひと戦力ほしいところです」
「な！？ だったらどーすんのよ！」
「いったん退きます。態勢さえ整えば、簡単に事を運べます」
ちらりと見渡せば、こっちの負傷者はゼロ。
炎の消耗や、多少の幻覚汚染の影響はあるかもしれないけれど、守護者や雪那はいつでも戦える。
そして何より…
「うおおお！！
ボスの大空の炎にのまれ、トリカブトの仮面が割れて彼方へ飛んでいく。
桔梗とブルーベルはそれを追い去って行った。
「ふぅ……なんとかなった」
「クローム姉、お疲れ様」
「すごかった〜！ とってもかっこよかったよ、クロームお姉ちゃん！」
「ありがとう」
無邪気に話しかけてくる雪華の頭を撫でる。
妹みたい……可愛い。
「クローム、助かったよ！ ありがとう！」
「うん。助けになれてよかった」
その後、私たちは大空の娘の提案で森へ行くこととなった。
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
