検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:20,509 hit

13. ページ13











鳴くんが連れて来てくれたのは
稲実の近くの河川敷だった。





『なんか涼しい・・・』



「俺のとっておきだもんね!」






笑っている鳴くんを見ると辛い。
こんなに眩しく笑う、優しい、素敵な人を
私はどうして好きになれないのか考えちゃうから。





「寮の朝食の時間もあるし、本題入ろっか。」




『うん。・・・・・・あのね、』




「ごめん・・・俺から話しちゃダメ?」







まさかの返事に一瞬固まってしまった。
鳴くんが話したいことがあるなんて思わなかった。





『全然!鳴くんから話して?』






私はこの時の鳴くんの気持ちは分からなかった。
正確には分かろうとしなかった。
何を言おうとしているかも考えなかった。
鳴くんになんて言おうかばっかり考えてた。








「俺、やっぱりAちゃんのこと好きじゃないみたい。」







『・・・・・・・・・え・・・?』







「初めは笑ってるAちゃんがすごい好きで、気づいたら好きになってた。」






鳴くんから目が離せない。

目は合わない。

水面を見つめながら鳴くんは続けた。







「段々話すのが楽しくなってきて、もっと好きだ、って思って、協力するフリしてデートまでして・・・本当に最低だよな、俺。」




『最低なんかじゃ・・・』






私の言葉が途切れたのは、

鳴くんが人差し指を私の唇に当てたから。







「・・・他の男で頭がいっぱいな女の子、好きにはなれなかったよ。」









ここまで言われてようやく気づいた私は
本当に本当に馬鹿だと思う。









「・・・俺は今、Aちゃんの返事を聞かずに一方的にAちゃんを振ったんだよ。この意味わかるよね?」









そう言って私を見た鳴くんは
すごく悲しそうに笑っていた。









「白河には今日伝えるの?」



『・・・うん、そのつもり』



「そっか、ドキドキだね」







無理したように笑う鳴くんは
私の好きな鳴くんじゃなくて






『鳴くん』




「ん?」





『・・・ありがとう、鳴くん大好き。』








涙を堪えながらそう伝えると

体温に包まれた。









「・・・俺も、大好きだよ。」









抱き締められてるんだ、って遅れて理解した。









「もう俺の大好きはAちゃんの大好きと同じ意味だから大丈夫だよ」









そう言って鳴くんは私から離れ

優しい笑顔を残して去っていった。








『・・・頑張らなきゃ』









14.→←12.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (36 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
51人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

幸菜(プロフ) - シェリーさん» コメントありがとうございます〜!そう言ってもらえて嬉しいです(;;) ほかの作品もぜひ覗いていってもらえると嬉しいです(;;)(;;) (2018年12月12日 19時) (レス) id: 25eae0690c (このIDを非表示/違反報告)
シェリー(プロフ) - 今更ごめんなさい〜。すごくいいお話でした。泣きました。ほんとに。鳴ちゃんがかっこよすぎて……。かっこいい鳴ちゃんを書いてくださってありがとうございました! (2018年12月5日 22時) (レス) id: ddd17e384f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:幸菜 | 作者ホームページ:http://twitter.com/arykn___  
作成日時:2018年9月4日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。