彼女。131 ページ34
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携帯を見せられた時はびっくりした、
まさかこんな形でファンの声を聞くことになるなんて、思ってなかったから。
ただ、私の気持ちは変わらないだろうから、最後に全部受け止めようと思った。
音楽に対する熱意なんて、もう戻ってこないと確信していたんだ。
だから始めは、あぁ、みんなこんな風に思ってくれてたんだ、
そういう風にしか思えなかった。
でも少ししてから、あるメッセージを見つけた。
〈 私はAちゃんの音楽に救われました。ずっと大好きです。
ただこの文だけ。
待ってます、も何も書いてない。
けれど、これにたくさんの気持ちが込められているように感じた。
あぁ、私と同じだ、って思ったんだ。
『音楽に救われた』
って。
きっとこの人も辛いことがあって、ネットに逃げているときに私の動画を見つけてくれたんだ。
そして、私の音楽を聴いてくれた。
「あ、」
…なんで、気付かなかったんだろう。
私は確かに音楽が好きで今まで活動をしていた。
でも一番始めは、それよりも
私が創った音楽で、誰かを救いたかったんだ。
自分も音楽に助けられたように、辛い思いをしている人の心を少しでも癒せたらいいな、って。
そして、音楽の素晴らしさを広めたかった。
そうか、
きっと、私はちゃんとわかってなかった。
人に音楽を提供するということを。
CDも出して、ライブもして、ファンの方にお金まで払ってもらっていたのに。
いや、CDもライブもしていたからこそ、自分が一人前になったように勝手に感じていただけだ。
そんな私が、今こんな無責任に音楽を離して、ファンを裏切っていいはずがないじゃないか。
あまりにも残酷すぎる。
「…ねぇ、まふ、」
「ん?」
そしてそのファンの1人であるまふに、酷なことだとわかっていながら、音楽をやめると言おうとしていたなんて。
…まだまだ考えが甘かった。
「私、もう一回曲を作ってみる。
…もしそれで無理だったとしても、1人でも私の音楽を心の拠り所にしてくれる人がいるなら、その人のために創って歌い続けるよ。」
まだファンに対して怖いという思いは消えてないし、今すぐ音楽をしたい って思えるほど気持ちが戻ったわけではないけれど。
それでも、創らなきゃいけない。
私には自分の音楽を発信して伝える義務がある。
そう言うと、まふは嬉しそうに笑って、うん、っと頷いた。
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りりな - をんぬさん» こんなに「お互い様」という言葉が似合う状況があったとは…!!(黙 (2018年3月29日 14時) (レス) id: 44385e2a4f (このIDを非表示/違反報告)
をんぬ(プロフ) - りりなさん» コメントありがとうございます!!おおおそう言っていただけて嬉しいです!頑張ります!(遅寝はお肌の大敵ですよ…!!と言いつつ今2時ですね…) (2018年3月29日 2時) (レス) id: 813ed47718 (このIDを非表示/違反報告)
りりな - コメント失礼します!キュンキュンと泣けるのと色々あって最高です!更新楽しみに待ってます!(こんな時間にコメントをする奴。現在時刻朝1時21分) (2018年3月23日 1時) (レス) id: 44385e2a4f (このIDを非表示/違反報告)
をんぬ(プロフ) - なおみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…!!ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月22日 7時) (レス) id: 813ed47718 (このIDを非表示/違反報告)
なおみ(プロフ) - 泣きました。゚゚º(゚´ω`゚)º゚゚。 これからも楽しみにしてます!! 更新頑張ってください! (2018年3月16日 16時) (レス) id: 73e619451a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:をんぬ | 作成日時:2018年1月21日 20時