彼女。99 ページ2
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髪も乾かし終わって、2人でのんびり過ごす。
チラッと時計を見れば、もう日付が変わっていた。
「あ、そうだ、
Aは僕のベッドで寝てね?」
まふもその時間に気づいたのか、寝る準備のために動き出す。
「えっ、いやそれは悪いよ。
私、床かソファで寝るから大丈夫だよ?」
私も歯磨きしなきゃなー、と思い立ちながらそう言うと、バッとまふに腕を掴まれた。
「それはだめ!女の子なんだから!」
凄い形相でダメって言い張る彼に、どうしようもできない私。
ううん、そんなの言われてもなぁ。
「そんな申し訳なさすぎて寝れないよ…。」
「僕も申し訳なさすぎて寝れないもん…。」
ブーっと頬を膨らませた彼のほっぺ。
人差し指で突っついたら音鳴りそう。
「んー…
じゃあベッドで一緒に寝るか、2人で床に布団敷いて寝るかにする?」
・
「…。」
「…。」
それから話し続け、結局2人でベッドで寝ることになって。
横になってすぐに広がる無言。
え、何かあったっけ?
なんでこんな無言なの。
「明日の朝、何か食べたいものある?」
「えっ、んー…。
なんでもいいよ。」
まふの方を向いて話しかけても、彼は反対側を向いたまま。
この短時間で何かやった記憶もないし、まふがそっち向きで寝たいだけかもしれないけど、明らかに様子がおかしい。
「まふ、
…っ?!」
彼の背中に私の手が触れた時、だったと思う。
横を向いていたはずなのに、いつのまにか仰向けになっていて、真正面にはまふの顔。
「まふ…?」
彼の目は普段とは違って、鋭い。
だけど、まふの顔は苦痛でいっぱいだった。
「ねぇA、僕だって男だよ?」
…あぁ、私はこの目を知っている。
幾度となく見た
嫌という程に。
でもなんでだろう
まふなら、大丈夫な気がするのは。
「Aのこと、大事にしたい。
傷つけたくない。
…けど理性って、そんな簡単に止められるものじゃないの。」
眉間に皺を寄せて、鋭い目に涙を浮かばせる。
…そうか
彼が怖くないのは、
まふが真剣に私との関係を考えてくれているからだ。
初めて、求められてこんなにも嬉しいと思えた。
「…いいよ。
私なら、まふとなら大丈夫。」
あなたの色で、染め直して。
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りりな - をんぬさん» こんなに「お互い様」という言葉が似合う状況があったとは…!!(黙 (2018年3月29日 14時) (レス) id: 44385e2a4f (このIDを非表示/違反報告)
をんぬ(プロフ) - りりなさん» コメントありがとうございます!!おおおそう言っていただけて嬉しいです!頑張ります!(遅寝はお肌の大敵ですよ…!!と言いつつ今2時ですね…) (2018年3月29日 2時) (レス) id: 813ed47718 (このIDを非表示/違反報告)
りりな - コメント失礼します!キュンキュンと泣けるのと色々あって最高です!更新楽しみに待ってます!(こんな時間にコメントをする奴。現在時刻朝1時21分) (2018年3月23日 1時) (レス) id: 44385e2a4f (このIDを非表示/違反報告)
をんぬ(プロフ) - なおみさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです…!!ありがとうございます!頑張ります! (2018年3月22日 7時) (レス) id: 813ed47718 (このIDを非表示/違反報告)
なおみ(プロフ) - 泣きました。゚゚º(゚´ω`゚)º゚゚。 これからも楽しみにしてます!! 更新頑張ってください! (2018年3月16日 16時) (レス) id: 73e619451a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:をんぬ | 作成日時:2018年1月21日 20時