【薄桜鬼】鬼の姫と三番組組長

仇〜聞きたくない事実〜 ページ45

「どうして……あんなことを…？」

少し声が掠れたものの、私は━━の目を見据えて尋ねた。






━━は答えない。

ただ、先ほどから浮かべていた微笑が……やや、陰った。








「どうして……蓮を裏切ったの？……何故、里を売ったの？」

畳みかけた問いにも、━━は黙ったままだった。

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「……どうして、答えてくれないの……」




何故だか、無性に悲しかった。


あんなにも憎いと、殺したいとさえ思った相手が目の前に居るのに……

何故だか、殺意なんて湧かなかった。




………ただ、悲しかった。


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「私には、わからない。………何故、あなたがあの幸せを壊したのか」



私の言葉に、今まで沈黙していた━━が眉を顰めた。





「俺は……」

答えを求めたのは自分だというのに、なぜか、答えを聞くことを拒む自分がおり、体に緊張が走る。




「俺は…幸せではなかった」


━━の目には光が無かった。それが、無性に怖い。

そのまま、━━は言葉を続ける。




「……お前が、俺たちの幸せを、壊した」
「お前が来たから、俺と蓮との間柄は変化したんだ」
「言ったろう…？お前が好きだって」
「……けど、お前は蓮の婚約者だった」
「お前と俺が一緒になるには、蓮は…里は、邪魔だったんだよ」

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