審神者と鬼狩りたちの話

18話 ページ20

鬼殺隊の隊士が必須として習得するものが産屋敷殿が言う"呼吸法"だという。



鬼殺隊への入隊希望者に剣士としての基本を伝授するのが各地に多数存在する"育手"で、呼吸法も彼らから教わるそうだ。




呼吸を使うことで爆発的に身体能力が上がり、"型"に沿った剣術を繰り出すことによって岩塊よりも硬い鬼の頸を斬り落とすことができるらしい。




『呼吸というのは今まで聞いたこともなかったです。それが使えないと鬼狩りは難しいのでしょうか』



「どうだろうね……体得してから藤襲山に行くかい？」




ん、と声をもらし、うつむきながら御縁は考える。





『(時間遡行軍が既に動いている。呼吸法を習っている時間が惜しいな……でも呼吸が使えなかったら使えなかったでこれからの闘いに不利になるかもしれないし……入隊する以上、足手まといにはなりたくない。背に腹は変えられないな)』








体得してから藤襲山に行こうと結論を出し顔を上げたと同時に







「いや、お前に呼吸法はいらんよ」









御縁の目に入ったのはあっけらかんとしてカステラを頬張る平門だった。







『…………え』






「呼吸を使うというのはな、お前が霊力を身体中に巡らせていることと同じなんだよ。"型"なんてものもお前の剣術があれば不要さ」








審神者の任務においても型破りな発想するぐらいだしと言って口に残っていたカステラを飲み込む。





『そう、ですか……でも、鬼に通じますかね』






「まあ、審神者が鬼狩りなんて前代未聞でなんとも言えんが……呼吸と似たものを持っているなら効くんじゃないか？いや、効かせろ。狩れ」





『急な命令口調』







口をいまだにもごもごとさせる平門とそんな平門に少しイラッとしている御縁をよそに、考え込んでいた産屋敷はなるほど、とうなずく。




「じゃあ、呼吸法はいらないんだね。わかった、では試験の内容はこうしよう。先日の藤襲山の最終選抜で生き残っている鬼たちを全滅させること。刀剣男士は何振り連れて行ってくれて構わない。日数の指定もなしだ」





『……承知致しました』






「めざせ！狙うべく階級は柱だ！！！！」




そう言って平門が御縁のカステラを手に取って頬張った。




御縁の平手打ちが飛ぶまであと2秒。




「ぶべっ」



『汚い』

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