19話 ページ21
『では産屋敷殿、私はこれにて失礼致します』
私は本丸に戻って任務のことを早々に刀剣男士たちに伝えねばと帰ることにした。
あまね殿にも大変騒がしくしてしまい申し訳ありませんでした、と手をついて深々と礼をすれば「楽しかったですよ、試験の際にはお気をつけて行ってらっしゃいませ」と返してもらえた。
それに対しうなずきを返すと、それと……と局長に向き直る。
『局長。鬼舞辻無惨についての資料か何かあればください、バカギ……こんのすけにでも渡してくれればいいので。そういえば他の四華仙の方はどうしているんです?』
「……お前のところのこんのすけを今度甘やかしてやろう……。他の四華仙は全員今、過去に飛んでいるぞ、現世の時間遡行軍に伴って警戒を強めているんだ」
『審神者も一緒に?それは随分と面倒くさいことになってそうですね……ああ、だから私一人なのか』
一つの本丸のみがこの任務を担当する理由が根本的な人手不足であると判断するとそれが一番大きな理由だな、と局長はうなずいた。
「それに表では政府非公認の組織に政府の人間が多くいると知られたら鬼殺隊も政府も大混乱を招くからな!鬼殺隊として動くようになったらくれぐれも注意しろよ、多少のことは産屋敷殿がどうにかしてくれるだろうがな」
「うん、動きやすくなるように私も尽力しよう。では御縁さん、期待しているよ。でも充分に気をつけて行っておいで。随時状況を報告するための鎹鴉をつけるが、その子が鬼の居場所も教えてくれるだろう」
『お心遣いありがとうございます』
鎹鴉……とは本丸に来たあの鴉だろうか。
彼には捨てようとしたり疑ったりと大変な目に遭わせてしまったので会ったらお詫びしなければならない。
『それでは、行って参ります。本日はありがとうございました』
私はふすまに手をかけ、開ける前に産屋敷殿、と呟いた。
「うん?どうかしたかい」
一言、彼には言わなければならない。
『鬼殺隊の長の代わりはいても、あなたの人生を紡ぐ代わりはいませんよ』
彼はまた目を見開く。
『行こう、髭切』
それを確認すると、私は座敷を後にした。
「輝哉様……」
「ああ、あまね……こんなに心が温かくなったのは……久しぶりだよ」
平門は寄り添う二人を静かに見守りながら御縁によって綺麗に畳まれた手巾を懐にしまう。
「(御縁、お前というやつは)」
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柊(プロフ) - 江戸城産くむっぷるさん» わああありがとうございます、絶賛心が折れかかっていたので言葉が染みました…!ぜんぜん鬼滅感なくて申し訳ないです、頑張りますね! (2020年1月19日 22時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - (''界''いらなかった…すみませんんんん) (2020年1月19日 17時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - 我こそは世界で最も心やさs(( ああああー!!とうらぶと鬼滅のクロスオーバーだああああ!凄く嬉しいです!更新頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月19日 16時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» 続けて失礼します、ご指摘をくださるだけでなく応援の言葉をもくださってとても嬉しいです、歓喜の舞です!本当にありがとうございます、頭爆発させながら頑張りますね!!!!!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» えっえっえっまって審神者としてあるまじきな間違いしてんじゃん嘘だろ私審神者辞めようかな!!!全国全世界の審神者の皆様に心よりお詫び申し上げます!!!そしてご指摘本当にありがとうございます!!!細かくて全然いいんです!ありがたいですすみませんでした!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年1月13日 4時