【あんスタ】アンティークとマリオネット

人形が3。 ページ5

彼女は屋上に着くと、あの頃の思い出である所に行った。



週に２回、教師にみつからないように、こっそりと彼女は来ているのである。



『ここで___なずなの歌声を聞いていたんだよね...

彼の歌声、また聞きたいな...』




目を閉じるとまだこのユニットが4人で、彼がまだいた記憶が蘇ってくる。



なずなは、お師さんこと、宗に喋ることを禁じられていた。

声変わりをしたから、と言われステージに立つ時も彼の歌声は音声で録音してある物なので歌ってはいない。



でも、来ることを禁じられていた屋上に２人で行き、こっそり見つからないように、存分に彼の歌声を聞いていた。




『懐かしい...な...』



たまに彼ら__Ra*bitsのステージは見に行ったりする彼女はそれを見る度に羨ましいと言う気持ちや、あんな風に私ものびのびと歌いたい__そう思うのであった。



『____もし、あの時に彼の手を掴んでいたら__』




少しは私の人生が変わっていたのかもしれない。




そんな事を思いながら、彼女はあの時の彼のように屋上でただ1人で歌を歌っていた。



『♪〜...』



そう、1人で歌っていた。

そう彼女は思っていたのだが



「...？誰かしら、あの子...あんずちゃんでもないわよね...？」



1人の少年(？)がその光景を見ていたのだった。


そろ〜っと近づいていく彼にも気付くことのなく、彼女はただ歌っていた。



「...！」



もう出るはずのない、涙を流しながら。

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