◇◆一途な想い人◆◇ ( J.M ) ページ1
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「それじゃあ佐々木さん、あとはよろしくね〜」
「この表も全部打ちこんでおいてもらえる？」
「暇ならこれも、頼んだよ」
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ぞろぞろと帰っていく会社の上司、同僚、後輩
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もうすぐで消えそうな蛍光灯の微かな灯が
私のデスクワークに置かれた大量の"仕事"を照らしている
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入社して２年目
今だに定時で帰れる日は滅多になくて、残業の毎日
特に趣味もなく、恋愛経験もゼロで
お洒落だって、してもなんの意味もないってわかってるからしない
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デスクの上に乗ったデジタルカレンダーが指す日付は「２月１４日」
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他の同期の女の子たちは、メイクも濃いめ。
仕事中もいつも以上に浮かれた感じで、声だって２トーン高いんじゃない？ってぐらい。
それでいて仕事はロクにやらず
上司も、同僚も、みーんな
暇を持て余している(ように見える)私に仕事を押し付けて、楽しそうな足音を立てて帰っていった
知ってるんだから。陰でみんな、私のことを「地味子」って呼んでること。
この前メイク室で聞いちゃったんだもん。ショック？まあまあうけたよね。
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バレンタインなんて
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バカバカしい
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ほんとに.....
「バカバカしい」 ━━━━━━━
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「なにがバカバカしいの？」
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突然耳元で聞き覚えのある声
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「.......松本、....さん」
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微かに震える唇
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誰にも教えてない
私だけの秘め事
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彼は私の " 想い人 "
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作者名：結嘉 | 作成日時：2016年2月21日 16時
