【Free!】林檎【山崎宗介】Part3

第83話 ページ3

ー日曜ー

ああ、ついにこの日が来た

……あの日から兄さんとは会ってない

だから余計な事を考える事は無くて
涙もどこかへ行ってしまった

けど、やっぱり少しは考えちゃう

兄さん今頃何してるかな、とか

そんな風に思ったりする

「こっちが良いかな…」

黒のワンピースと、緑のワンピース

どっちもこの間買ったもの

これの上にコート着れば良いから…やっぱり黒かな

春の新作って出てたけど、やっぱりまだ生地が厚いかな

「…ふあぁ……」

予告も無しに長い欠伸が出た

眠い…昨日早く寝たのになあ

カチッ

ケータイを開くと、着信履歴は真琴先輩ばっかりだった

もちろん、優姫や兄さんの名前もあるけど…

やっぱり真琴先輩が多かった

……これから、ぱったりと無くなっちゃうんだよね

「はあ」

もう行こう

何してても余計な事考えるんだから

ガチャ

ー橘宅ー

ピンポーン

何回目だっけ、真琴先輩の家に来るのは

ガチャッ

「わー！！Aちゃんだー！」

「蘭ちゃん！」

急だったからびっくりした…

「いらっしゃいー！」

蓮くんも元気そう

「久しぶり」

やっぱり真琴先輩にそっくりだなぁ

「…いらっしゃい、A」

蘭ちゃんたちと目線を合わせる為にしゃがんでたら、真琴先輩が来た

いつもの、あの笑顔

「おはようございます」

「うん、おはよう。思ったより早かったね」

真琴先輩は、あくびをした後、壁に寄りかかって腕を組んだ

「上行こうか？」

「あ、はい」

「えぇー蘭、Aちゃんと遊びたいー！」

「僕もー！」

二人はそう言いながら真琴先輩の足元に移動する

「お兄ちゃんばっかりズルイよー」

「えー？！ズルイってそんな………んー、じゃあ少しだけ良い？A」

「私は良いですよ」

会うの本当に久しぶりだし、この間もそんなに遊んであげられなかったからね

「じゃあ蘭たちの部屋行こうか」

「「やったー！」」

真琴先輩…ほんといいお兄さんだよね

…お兄さん……兄さん…

ああ、駄目だ

思い出さないって、考えないって決めてたのに

______

そういえば、Part2の方がランキング入りしてましたね！

私の作品としては初めてのランキング入りだったのでびっくりしました…

これも読者の皆様のおかげです！本当にありがとうございます！！

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