【はたらく細胞】好きと嫌いは紙一重

18　既視感 ページ20

49「あ、ねぇ、Aちゃん」

『？』

49「この後デートしようよデート。』

そう言って、4989は勢いよく飛び起き、私を見た。
今から？と聞くと、今から！と元気のいい答えが返ってくる。

私が少し考え込んでいると、迷惑を心配しているのか、不安そうに眉をひそめた4989が、私の顔を覗き込んだ。

確認しなければ分からないこともあるため、予定なんてあったかなと備え付けのメモ帳に目を通す。急用の用事も特に何も無いことを確認してから、4989にいいよと返答すると、彼の顔がみるみる明るくなって、嬉しそうに立ち上がった。


49「デートだー！やったー！ほら、俺好中球だかさー女の子とデートするの初めてで！」


『デートっていうか……。付き合うだけですからね』


そう釘を刺すが、彼は気にも留めていないようで、わーいわーいと手を上げて子供のようにはしゃぎ回る。
もう、ととりあえずため息をついたものの、心のどこかで、彼とのデート(らしきもの)を楽しみにしている自分がいた。


あれだけ嫌っていた好中球と、まさかデートするなんて、鈍ったものだと苦笑するが、別段悪い気もしない。

行こ！と飛び跳ねて私の手を取って、強引に走り出した彼の後ろ姿は、どこか懐かしく、どこか安心するような心地良さがあった。

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