太 ページ1
なんでも君の一番になりたかった。
だけれどそれは叶わないと知る。
私よりポートマフィアが好きだからだ。
君の一番の«好き»になれないのなら
君の一番の«嫌い»になろう。
だから私は嘘を吐く。
「中也なんか大嫌い。
もう顔なんて見たくないよ」
＊
ポートマフィアに居た時も、ポートマフィアを脱退した後も欠かさずある日にちを迎えたら、飾られていないシンプルな内容で一通の通知が届く。一年に一回のそれは、非常に私を楽しみにさせた。
『お誕生日おめでとう』
と書かれている文を見ると自然に顔が緩む。
それだけの簡単な文だが満足であった。
だが、今年はどうだろう。
何時もは秒針が0:00をさすと同時に送られてくるはずの文は来ない。
「これはいよいよ中也に嫌われたかなぁ。」
お酒を片手に机にへばりつきながら端末の画面を目を細めて睨みつけてやったが、何も変わることは無く、一つ息をついた。
(嫌われたのなら良かったじゃあないか。
願ったり叶ったりだ。)
端末の画面を見えないように机の上に置くと
心の中でぼやいた。
『本当にそうだろうか?』
『これで良かったのか?』
何回自問を繰り返しても答えは出なかった。
「ねぇ中也。」
自分以外誰もいない部屋で返事が返って来るはずのない人物の名前を呼ぶ。
そう、私は酔っているのだ。
嫌いな男の名前を寂しいからと云って決して呼ばないはずだ。
酒に酔っているのなら仕方ない。
「……ほんと、君ってセンスないよね特に帽子」
＿＿＿＿綺麗な髪が帽子によって隠されるから
いぬが嫌いなのは、中也を自分のものに出来なかったから。
よく入水するのは君の瞳の色に似てるから。
なんて、柄にも無いことを考えてしまう。
「中也、なんて大嫌い、世界一大嫌いで
憎いほど……。」
好きだったのだけれど。
口にすることは出来なかった。
私は非常にこの立ち位置に満足している。
なら口に出すのは行けないであろう。
関係を崩す一つになるかもしれない。
きっと中也なら「気持ち悪ぃ」と云うに違いない。それで関係に傷つくくらいなら。
大嫌いなままでいよう。
«面倒臭い思考»
素直な自分がはっきりと云った。
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零(プロフ) - 新那さん» そうですよね!更新頑張ってください！ (2017年6月3日 13時) (
レス) id: 1f04ec0088 (このIDを非表示/違反報告)
新那(プロフ) - すたぁさん» ありがとうございます!!!文章美しくないですよ汗、ですが褒めてくださりありがとうございます (2017年6月3日 13時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
新那(プロフ) - 零さん» そう言ってくださると嬉しいです!!!公式でも太宰さんが中也にこんな風に思っていたらなあと思ってます()更新頑張らせていただきます (2017年6月3日 13時) (レス) id: b29d04a7cb (このIDを非表示/違反報告)
すたぁ(プロフ) - 素敵！！こういう解釈もあるのだなぁと思いました、そして文章が美しい・・ (2017年6月3日 13時) (レス) id: 47c7932670 (このIDを非表示/違反報告)
零(プロフ) - 太宰さんが中也に抱く思いと、一番の好きにはなれないから一番の嫌いになろうとするのが、よく文章で描かれてて凄く面白いです！更新頑張ってください！ (2017年6月3日 12時) (レス) id: 1f04ec0088 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：新那 | 作成日時：2017年6月3日 12時
