第六百九十訓 ページ46
なんだと思って振り返ると、
『!斉藤くん!』
斉藤「っ、」
少し息を切らした斉藤くんが立っていた。その手には私が彼の机に置いておいた手紙が握られている。
………なるほど、中身見てた所私が見えたから走って追いかけてきたとかかな?
『どうしたんだい?あ、手紙の事で何か__』
斉藤「……」
『あ』
そういや斉藤くんは口が聞けないんだった。
メモ帳も持っていないしどうしようかと困っていると、彼は懐から携帯を取り出してそこにカコカコと文字を打ち始めた。
あ、携帯……その手があったか。
『えっと、なになに?』
携帯の画面には、
"今回の騒動、色々お世話になりましたƵ。迷惑をかけてすみませんƵ。そして手紙も読みました(o^^o)"
と、書かれてあり……いや、丁寧に顔文字もつけるんだね。なんかこれだと佐々木くん思い出すんだけど。
(あの人と斉藤くんじゃ可愛さとか色々違うんだけどね。うん)
…………ま、それはいいとして。
『ふふ、それを言う為だけにわざわざ走ってきたのかい?馬鹿だな、私が戻ってきた時でも言えるのに』
斉藤「……っ、」
ワタワタとしている斉藤くんが小動物を思い起こさせて可愛らしい。
私がそれに微笑みながら質問すると、慌ててまた文字を打ち出した。そこも可愛らしくて、声を微かに上げて笑ってしまう。
"勝手に体が動いてしまったんですƵ。反射的に貴女に会いに行かなければと"
『おや、私になにか言いたいことがあったの?』
"自分でもよく分かりませんƵ。けど手紙を読んだ事と、"
一人が携帯のたどたどしい会話とも言えぬ会話。声だけ聞けば独り言に聞こえるようなそれだけど、厭に居心地が良かった。
"それと、"
『それと?』
カコカコカコ、と携帯のボタンを押す音が響く。そうして打たれた文字は___
"ありがとう"
『……ふふ、』
今更かもしれないが、目の前の可愛い彼が紡ぐ文字は携帯であろうと紙であろうと何処か優しく暖かい。
『…やっぱり君、馬鹿だろ』
斉藤「……!?」
『だって言わなくても伝わるもの。
__君、物凄く幸せそうな笑顔で笑ってるから』
そして、文字と同様に_____
彼が心から零す笑顔も、暖かく優しいものだった。
.
『なぁんだ、ちゃんと笑えるじゃないか』
ー
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結葉(プロフ) - もしかしたら斎藤終の初登場9章の25ページかと思います。違っていたら申し訳ありません。 (2022年7月28日 18時) (レス) @page2 id: 9288ea6b71 (このIDを非表示/違反報告)
悠(プロフ) - 愛染香篇めっちゃ楽しみです!頑張ってください! (2021年12月4日 21時) (レス) @page48 id: 2d162a3757 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - カブさん» おおおお!いえいえテストお疲れ様でした!!暁ちゃん絶賛してくれたようで嬉しいですww誕生日を祝って頂いで暁ちゃんも喜んでますよw更新頑張りますね!!有難う御座います!!! (2021年12月4日 21時) (レス) id: 2209f9ef43 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - パンダさん» こんにちは!!有難う御座います!なるべく早く更新出来るよう頑張ります! (2021年11月28日 20時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
実珠(プロフ) - Shionさん» 終兄さん書いてて可愛らしくて楽しかったですwさらば真選組とかでも出てくるのでまだ出番あると思うのでそれまでのお楽しみですねw更新頑張ります!有難う御座います! (2021年11月28日 20時) (レス) id: 5eb1e7fab0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:実珠 | 作成日時:2021年10月10日 21時