【カゲプロ】狼だぁ〜れだ？【ホラー】

託された思い【残り４人】 ページ24

『さて、今日の処刑人は……吉田Aだ』

その声で現実に引き戻された

この中でまだ処刑人をやっていないのは私だけ

こうなるのは予想できたはず

なのに……

「何で……涙が、止まらないのぉ……」

予想なんてできなかった

予想するわけなかった

幼馴染をこの手で









殺さなきゃならないなんて





いつもは閉じているはずの部屋のドアが開く

それが「これが現実だ」と突き付けてくる

ロビーに出ると、黒コノハが待ち構えていて

銃を手渡してきた

コレでコイツの頭をぶち抜けば

皆が生き返ってくれないかな

……無理だよね

解かってる。分かってるからこんなにも辛いんだよ

自分の部屋の隣。幼馴染の部屋へ向かう足取りが重い

早くしなければならないけれど

扉の取っ手を掴む。ひんやりとした感触が手に伝わってくる

この扉を開けずに済めば、なんて幸せなことだろう

けれども、現実は厳しく

扉はすんなりと開いてしまうのだった






「待ってたよ。にしても酷い奴だね。何もAにしなくたっていいだろうに」

そう言いながら笑顔で迎えてくれる幼馴染

この笑顔が私には辛い

「あ、最後だから言っちゃってもいいかな？僕の役職。黒コノハくーん」

『ダメだ。面白くないだろ』

「けちだなぁー」

カノはどうしてこんなに平然といられるのだろう

私にはわかる。カノは欺いていない

そんな私の思いも無視して

「お、もう時間ないみたい。じゃあ後は頑張ってねー。あと、苦しみたくないから頭か心臓でよろしく！」

そう言って、とびっきりの笑顔を見せた

もう後には引けない

やるしかない……

「……キドの分まで……最後まで守れなくてごめんね」

「っ！！！」

その言葉を聞いたとたん、私は無意識に引き金を引いていた









カノはキドが死んでから、ずっと私を守ってていてくれてたんだ









今になって気付いた。7日目に死ぬ予定だったのは……私だったんだ

途中で処刑人が飛ばされたのは、特別な縁がある人を殺すためだけじゃなく、確実に1回は殺させるため

黒コノハは、その日に誰が死ぬか……分かっていたんだ

最初から……やつの手の上で踊らされていた

そう思うと悔しくて悔しくて

涙さえ出なかった

ということは、黒コノハはこのゲームの結末を知っているはず

私はこのゲームを終わらせる









自分が望んだ結末になるように

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