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五拾壱の幕(獅子王side) ページ4

ひんやりと冷たい手が俺の額を覆う。
熱中症のせいで火照った体にはちょうど良かった。

俺を申し訳なさそうに見つめるAの顔色はさっきよりも良くなってて、少し安心する。


『気分はどうだ?』

獅「んん…もう少し寝たいかも…」


全身が鉛のように重く、気怠くなってしまえば、楽になるまで休んでいたい。
そう自分自身を甘やかし、瞼を閉じる。

規則的に額から頭にかけて、髪の毛を梳くように撫でる感覚が心地いい。
本当に、眠ってしまいそうだ……


『寝るか?』

獅「寝たい…かも……」

『寝るなら歌仙殿が作る粥を食べてからにするとよい』


起きろ、と合図をするように優しくとんとんと頭を小突く仕草。
俺だって、そんなに若い刀じゃねぇんだけどな……


歌「おや、丁度いいところで起きたんだね」

獅「おー…わりぃな、歌仙さん」

歌「礼には及ばないよ…と言いたいところだけど…君たち、少しは気をつけてくれよ?」

『はは…それは私が受け入れよう』


本当に、Aはどんな表情でも絵になるな。
ほんのりと良い加減に味付けされた粥を口に入れる。

俺と歌仙は初めて喋るのに、何故か3人で話が盛り上がった。
それぞれの趣味な話題などではなく、世間話程度だったが。
たまには別な奴と話すのも悪くないのかも。


歌「それじゃあ、あとはゆっくり休んでくれよ?」

『そうさせてもらおうか』

獅「ありがとよ!」

歌「あぁ…また呼んでくれ…そうだ、今度和歌なんかを読んでみないかい?」

『そうだな、其方は文系名刀だったか…私も平安生まれだ、付き合おう』

獅「俺わからねぇ!」

歌「ははは…君らしいよ」


また俺とAだけの空間になる。
空腹が満たされたからか、再び睡魔が襲って来た…


『…おやすみ、獅子王殿』

獅「…なぁ」

『?どうした?』


ほとんど意識が浮いているような状態で口を開く。
そのまま眠りに落ちればよかったものを、俺は寂しかったのだろうか。


獅「少しだけで、いいんだけどよ…背中…さすってくれねぇかな…」


そこまで体調が酷いわけでもない。
けど…少しくらい、甘えてもいいよな……


『良いぞ…』


閉じかけた視界に映る、綺麗に整った顔。
あれ、こんなに至近距離にいたんだっけか…?

赤子のように、抱かれるように背中に回された腕は、優しく、俺を夢の中へと連れて行った。

五拾弐の幕(烏side)→←五拾の幕(歌仙兼定side)



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ハク(プロフ) - とっても面白かったです!!番外編もみてみたいです! (2017年4月10日 17時) (レス) id: a0d23eb5b6 (このIDを非表示/違反報告)
新雪 - 最後涙でそうになった。w (2017年1月4日 1時) (レス) id: 295e266782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はせがわ | 作成日時:2016年5月2日 20時

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