私には使命があります2 (ページ18)

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六拾五の幕(貴方side) ページ18

『…来た！』

勢いよく飛び掛ってくる、刀を持った鬼のような化け物。
磨きあげられた機動で3体の敵に向かっていったのは、切国殿と長谷部殿、薬研殿だ。

燭｢Aちゃん、石投げて｣

そう言って指さしたのは、太刀などの出遅れた敵。
私は足元に転がっていた石を掴み、思い切り投げた。

が、それは敵に当たることなく、刀で防がれてしまった。

燭｢うーん、残念！けどナイスだね｣

『え？』

三｢少しでも気を離せれば…こちらのものだ、な｣

いつの間にかそちらに走っていた三日月殿が美しい太刀で相手を斬る。
もうなんというか、華麗と言うべきか。

それに、見とれていたのが誤りだった。

へ｢A！よそ見をするな！！｣

長谷部殿の大きく響いた声にハッとする。
気配を辿って後ろを振り向くと、すでに私に刃を向けた敵方の脇差が。

『ぐっ…ぅわっ…！』

持ち前の反射神経と機動で、なんとかその攻撃を防ぐ。
しかし力勝負がてんでダメな私だ。
すぐに私は吹き飛ばされ、体制を崩した。

へ｢A！！前を見ろ！！｣

『っ…』

目の前にいたのは、6体目の太刀。
この時を待っていいたかのように、私に飛びかかる。
私は変に焦り、先程のように刀で防ごうと構える。

しかしよく考えてみると、太刀なんかの攻撃を受けてしまえば、衝力や打撃の値が低い私はひとたまりもない。

あぁ、これは、もう…

燭｢ほら、早く立たないと服が汚れちゃうよ？｣

派手な斬撃音が響いたそこには、敵を射殺すような鋭い目つきで私に優しく微笑む、光忠殿だった。

燭｢決まった…かな？｣

『あ…ありがとう…』

差し伸べられた手をおずおずと掴むと、彼は一気に私を引っ張りあげた。
心臓の音がまだうるさく鳴っている。

これが、戦…実戦だ。

燭｢あの時、よく動けたね｣

『い、や…私は何も出来なかった…』

薬｢初めのうちはそんなもんさ。ゆっくり行こうぜ｣

未だ震える体を、光忠殿は優しくさする。
あぁ、本当に情けない。
式神といえど、刀の付喪神なのに…

へ｢…A｣

『…？』

へ｢…次はお前らしい、お前だけができる役割を考えろ｣

『…わかった』

まあ、あれだけ手合わせをやってきてのこの成果だ。
残念に思ったのだろ…

へ｢…が、動きは悪くない。初めてにしては…よく頑張ったな｣

『…！』

わしわし、とぶっきらぼうに頭を撫でられる。
…そうだ、まだこれからだ。
次は、私にしかできないことを…