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四拾八の幕(にっかり青江side) ページ1

青「……Aちゃん、起きているんだろう?」

『はは、ばれていたか…』


大倶利伽羅が部屋を出た後、僕は彼女に呼びかける。
案の定たぬき寝入りをしていた彼女は、顔色の悪いまま微笑み体を起こした。


青「君は寝ないんじゃなかったのかい?」

『覚えていたか』


だが休んでいたのは本当だぞ?

彼女はまるで僕を試しているかのように目を細め、口角を上げる。
それにつられて短く笑う。


青「もう元気なのかい?」

『先程よりはな…だがまだ気怠い感じがする』

青「獅子王くんも起きないし…熱中症というものは本当に厄介だねぇ」

『これは熱中症というものか…ふむ…』


二度と味わいたくないものだなんて笑っているけど、結構笑い事ではないからね?
主や薬研くんたちは万屋から帰ってこないし…


取り敢えず、ぱたぱたと獅子王くんをうちわで仰ぐAちゃんを止めといた。


『む、何をする』

青「何をするって君ねぇ…一応病人だからね?」

『獅子王殿は私のせいで倒れた。私が看病して当然だ』

青「だーめ。君はちゃんと寝てないと…僕が怒られちゃうからね」

『?どういうことだ?』

歌「みんな君を心配しているってことさ」


僕が答えるが早いか、鍋と飲み物を乗せたお盆を持つ歌仙くんが立っていた。
少し呆れている様子だが、これでも彼はしっかり心配している。
普段雅とかなんとか言っている彼が、御手杵くんや小夜くんに伝えられた時の慌てようったら……


歌「まったく、君は無茶をしすぎじゃないかい?」

『返す言葉もないな…』

青「布団を敷いてあげるから…少し立てるかい?」

『あぁ…ふらつくが問題ない』


本当にふらふらと立ち上がり、壁に寄りかかったAちゃん。
歌仙くんはそれを心底心配そうに見ていた。


青「じゃあ、敷き終わったからね。後は頼んだよ」

歌「青江はここにいないのかい?」

青「僕は少しやることがあるからね」


そう言って僕は部屋を出た。
最後まで僕に手を振っていた彼女は…いくら口調が男っぽくても、仕草が可愛らしかった。


青「…」


僕と彼女だけの秘密を思い出す。
どうして、知るのが僕だったんだろう……

四拾九の幕(貴方side)→



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ハク(プロフ) - とっても面白かったです!!番外編もみてみたいです! (2017年4月10日 17時) (レス) id: a0d23eb5b6 (このIDを非表示/違反報告)
新雪 - 最後涙でそうになった。w (2017年1月4日 1時) (レス) id: 295e266782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はせがわ | 作成日時:2016年5月2日 20時

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