検索窓
今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:451 hit

4話 ページ6

私の違和感に気付いた店長が一言、こう言った。



「彼は、特殊なんだよ。」



「特殊…?どういうことですか?」



私の問いには答えず、店長は微笑んだ。



「2階で話そうか。」



うながされるまま2階の部屋に通される。彼が特殊とは、一体どういうことなのだろうか?あの美味しそうな匂いと関係しているの?俄然彼に興味が湧いてくる。



「それで…さっきのは、どういう意味なんですか?」



ソファで一息ついて、またさっきと同じ質問をする。



「……彼は、金木君は…元は人間なんだ。」



「元は、人間ですって?ありえないでしょう!人間が喰種になるなんて。」



「以前にこの近くで、鉄骨の落下事故があったのを覚えているかい?」



「……確か、巻き込まれて1人亡くなったとか。その人の臓器を勝手にもう1人の人に移植して問題になっていた事故ですよね?」



「そう。その被害者が金木君なんだよ。そしてもう1人の被害者が神代利世。」



「…っ!大食らいの、リゼ?彼女、死んだんですか?」



「分からない。表向きには死んだことになっているが…。金木君は、彼女の臓器を移植されたことで喰種になってしまった。」



「そんなことが…可能なんですか?」



「実際に金木君がこうなってしまった以上、可能だ…としか言いようがないね。」



「まあ……そう、ですね。」



「……君は、彼をどう思う?元は、人間だった彼を。」



「どうって……」



そんなこと言われても。という感じだ。正直まだ頭がついていってない。彼が元は人間だという…でも、今は喰種。私たちの仲間だ。けれど純正な喰種ではない。私の嫌いな人間なのだ。
ーーー店長が私に問いかけているのは、私が彼を受け入れられるかどうか、ということだろう。………答えは、ノーだ。



「私は彼を、認めることは出来ませんね。元が人間だなんて、ありえない。喰種の世界に人間が入ってくるなんて、そんなの絶対認められません。」



「しかし、彼はもう人間としては生きていけない。彼もまた、人間以外を食べられなくなってしまったのだから。以前は普通に食べられたものがある日突然食べられなくなる…これほど辛いことがあるだろうか?知らない方がよほどマシだったはずだよ。」



「そうかも…しれないけれど…」



彼が、どんなに辛い思いをしていたとしても…私が彼を受け入れることはないだろう。
この時の私は、そう信じてやまなかった。

5話→←3話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.5/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3人がお気に入り
設定タグ:葉生姜 , 東京喰種
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葉生姜 | 作成日時:2018年11月7日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。