1話 ページ3
「お前、最近荒らしすぎじゃないか。」
そう言われたのは、私がいつも羽休めに訪れているカフェ「あんていく」でのことだった。静かに口を開いたその人は、開口一番私を咎める言葉を吐いた。
「…食料調達を手伝ってあげてるのに、その言い方はないんじゃない？四方さん。」
私はまたか、と思いつつ不満を前面に押し出して反論した。
「お前のやり方は許容出来ない。殺しすぎだ。」
四方さんも苛立ちを隠せないのか、語気が強くなる。
「別に、殺したっていいじゃない。その分私たち喰種が飢えをしのげるわけだし。どうせ人間なんて私たちの食料でしかないのよ？共存とか、バカみたい。」
「A…お前のその行きすぎた喰種至上主義は必ずお前自身の首を絞めることになるぞ。�犒嬋鵜瓩蓮∈�ハトの中で最も警戒されている。血眼になって探しているぞ。」
「お説教は聞き飽きたわ。私、何と言われようとこのスタンスを変えるつもりないもの。なぜ、喰種が�牋��瓩覆痢�私たちはただ、必死に生きているだけよ。食べられるものが人間以外にないんだもの、生きる為に殺して何が悪いの？人間は、もっといろんなものの命を奪っているわ…。」
「その気持ちは痛いほどわかる。だが…」
「もうこれ以上話を聞く気はないから。コーヒー、ご馳走さま。」
耳にタコが出来るぐらい聞かされたお説教。もううんざり。四方さんの言葉を強引に遮って、私はあんていくを後にした。
「あー…イライラする。なんで私が怒られなきゃいけないわけ？」
「あんていく」の人たちは、甘すぎる。人間と共存していく為に店長はあの店を開いたそうだが、私からしてみれば何を世迷いごとを。といった感じだ。私たち喰種と人間が分かり合えるはずないじゃない。いくら取り繕ったって、所詮食う側と食われる側なのだから。
下手に人間と親しくして殺された喰種をたくさん知っている。知っているはずなのに、なぜ今だに人間と関わろうとするのか。
「……こんなイライラする日は、美味しいものを食べたくなっちゃうわ。」
私たちにも、好みがある。一口に人間といっても肉の質が年齢や性別で全く違ってくるからだ。私の好みは、10代の女性。細身よりも少し脂肪がついている方がいい。
ふと周りを見渡せば、女子高生が群れをなして帰っていく。ちょうど、下校の時間か。
私好みの子を見つけ、舌なめずりを一つ。
「さて、狩りますか…」
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作者名：葉生姜 | 作成日時：2018年11月7日 16時
