十五枚目 ページ17
『クラリネスが一望出来るぐらいの景色だね。ありがとうオビ。また想像の幅が広がった』
彼を見上げてお礼を言うと一瞬嬉しそうな顔をしたものの、すぐむくれてしまった
おかしなことは言ってないはずだけど
「そこは、"ありがとうオビ、大好きだよ"ぐらい言ってくれないと」
『……』
「ちょ、ちょっとちょっと、露骨に嫌そうな顔しないでよ。傷つくなぁ」
『そんなつもりはないんだけど』
多少は照れたんだけど、顔はそうやって出なかったみたいだ
「まあ、お姉さんが俺のことなんとも思ってないのは分かってるけど、流石にここまでだと俺も心が折れるな」
『まあ、がんばってよ』
また天邪鬼な言葉が口から出る
これではまた誤解される
「他人事みたいに…はぁぁ…」
弁明する前に、オビはため息をついた後、こちらにグッと顔を寄せる。息が唇にかかるほどの距離
「この状況じゃ、あんたは動けないから、なんでもし放題なんだけど。いいの?」
『良くないから。冗談は、』
またからかわれてるのだろうと軽く受け流したけど、ばちりと合った瞳は真剣で
「そろそろあんたは学習した方がいいよ?」
まずいと思った頃には遅くって
『え、オビ…ッ…!!』
軽く触れたそれは、少しだけ冷たかった
ーー
この日も終わりに近づく今
人々が願いを込めて、火を宿した紙灯籠が天高く無数の光となって飛んでいく
そんな感激するような光景の中、僕とオビを取り巻く空気はあまり良くなかった
(どれもこれもオビのせいだけど、僕のせいでも、ある)
一瞬のはずなのに、まだ感触が残っている
(普通、恋人でもない人間にキスするものかな)
彼は理解がし難い
「どうしたのサク。考え事?」
合流した木々が話しかけてくる。ミツヒデは今し方来たゼン王子に説教中
『…別に、君が気にすることじゃないよ』
「オビと何かあったんだね」
『……木々にこそ千里眼があるんじゃないかな』
「当たってるんだね」
木々は少しだけ笑って、それ以上は聞かなかった
こっちが話すのを待ってくれている
それに、自然と皆の会話に入っていけるように気も配ってくれている
(年下に心配されるようじゃまだまだだね、僕も)
答えは多分すぐそこな気がするけど、その答えを出してしまうのが怖い
けれど進まなければ何も変わらないのもまた事実
今はまだ揺れている
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つねさん(プロフ) - 1話目で菱田さん！！！！って叫びました。この作品好きすぎて辛いです涙出てきました応援してます！！！ (2016年7月29日 23時) (
レス) id: 45649277a8 (このIDを非表示/違反報告)
りりか♪ - おもしろいです！ (2016年5月6日 23時) (レス) id: 16d26bbe18 (このIDを非表示/違反報告)
ノンナ(プロフ) - めいこいですね！わかります！ (2016年3月21日 17時) (レス) id: 62b81bdc65 (このIDを非表示/違反報告)
梛(プロフ) - 凄く面白いです！！主人公ちゃん可愛いですね！これからも楽しみにしています。頑張ってください！ (2016年2月17日 0時) (レス) id: 63f277ad3e (このIDを非表示/違反報告)
春月(プロフ) - 零雨さん» コメントありがとうございます。誤字指定ありがとうございます!確かにおかしかったですね(笑) (2016年2月12日 21時) (レス) id: 3cb9b28fc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春月 | 作成日時：2016年1月26日 18時
