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59話 ページ9

「…この子のお母さんですか?」
ぼーっと眺めている佐倉さんに声をかけたのは
尚くんだった。

「そう、です…」
「可愛いな〜、お母さんに似てる」
「え…」
「美人さんですね。俺の子は隣のベッドの…
あ、目開けた!」

佐倉さんの赤ちゃんがまばたきをしてる。

「…緑の目」
赤ちゃんの目は両目とも、
佐倉さんの左目と同じ色をしていた。

「お母さんとお揃いだ!可愛い〜」
尚くんのきゃあきゃあという声が
助産院に響く。

「可愛い、ですか?」
おどおどした調子で尚くんに聞く。
「はい!綺麗で羨ましいなって」
「綺麗、ですか?」
「とっても綺麗です!」

尚くんがにっこりと笑いかける。
俺も笑った。
佐倉さんも少しだけ笑った。
「…この子に会ってもいい?」

「もちろん!」

新生児室からベッドをカラカラ引いて
佐倉さんの部屋に入った。
ベッドに腰掛けるのは、尚くんと佐倉さん。

「抱っこしてみようか」

ふにゃふにゃの赤ちゃんを抱いて
佐倉さんの腕の中にゆっくり下ろした。

「小さい…」
「小さいね」
赤ちゃんの頭を撫でると
ふわぁ、と欠伸をする。

佐倉さんの目から涙が一筋流れた。
「俺、親に、なれますか?
施設、育ちでっ、親ってどんなのか、
分かんないんですけどっ」

俺に顔を向ける。
鼻水が出て、眉間に皺がよって、
すごい顔だった。
不覚にも笑ってしまった。

「大丈夫。
親はなるんじゃなくて、
子どもがならせてくれるから」

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朱々璃(プロフ) - こんぺいとうさん» 閲覧ありがとうございます!コメント頂けるとやる気起きます笑 少しずつですが頑張ります(^^) これから、兄弟一人一人の恋事情も挟みますのでお楽しみください!これからもよろしくお願いします (2017年11月13日 12時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください!楽しみにしています! (2017年11月11日 23時) (レス) id: 44526260a6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朱々璃 | 作成日時:2017年11月2日 1時

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