54話 ページ4
「ハル、今から来れるか?
野良妊夫だ」
蒼真がぐっすりと眠った頃、
誠司くんから電話がかかってきた。
野良妊夫。
未受診妊夫のこと。
どうすればいいのか分からず
全く病院にかかってないまま、
出産を迎える妊夫は少なくない。
「了解、すぐ行く」
時計を見る。
1時35分。
若干眠いけど、仕方ない。
急いで着替えて、仕事用のエプロンを片手に
階段を駆け下りてリビングに行った。
兄ちゃんがソファー座ってテレビを見ている。
それは幼い頃のホームビデオだった。
日陰でみんなを眺めてる俺と
海が怖くて泣いてる蒼真と
海の深いところまで泳ぎに行ってる兄ちゃんと雨生と
父さんとビーチバレーをしている光貴。
ビデオを回してるのは母さんか。
『蒼ちゃん、ちゃぷちゃぷしないの?
にぃにとういたん、すごい遠くにいるよ』
母さんの声。
久しぶりに聞いたな。
『いやぁぁあ!こあいこあい!』
2歳くらいの蒼真。
波は低い海なのに怖がりだったなあ。
『じゃあ、はるたんとお砂でお城作ってよ!』
そうだ、一緒にお城作ったんだったなぁ。
『光貴はバレーを最近始めました』
『お、なかなかいいレシーブですねぇ』
ビデオ回しながら
近況報告するのは母さんの癖。
バレーボールが大好きな父さん。
高校の頃はキャプテンだったらしい。
バレーを息子と一緒にするのが夢だったらしいけど、兄弟の中でバレーに興味を示したのは
光貴だけだった。
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朱々璃(プロフ) - こんぺいとうさん» 閲覧ありがとうございます!コメント頂けるとやる気起きます笑 少しずつですが頑張ります(^^) これから、兄弟一人一人の恋事情も挟みますのでお楽しみください!これからもよろしくお願いします (2017年11月13日 12時) (レス) id: e291ea7c47 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとう(プロフ) - すごく面白いです!更新頑張ってください!楽しみにしています! (2017年11月11日 23時) (レス) id: 44526260a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朱々璃 | 作成日時:2017年11月2日 1時