不自然 ページ6
「A、痛くねえか？」
「わ、わたしは大丈夫…」
気配を消して、二人で隠れていた。
相変わらず距離が近くて、キバがこんなに近い。思わず、キバをじっと見つめてしまう。
「……とれねぇなぁ…」
キバが手を動かすが、絡まりはほどけない。
「ご、ごめん……まとめてくれば良かったよね」
「い、いや…お前の髪、サラサラだからしばんのもったいなくね？」
「……そ、うかな。」
ドキドキ。緊張ばっかしちゃう。わたしだけなの…？
「くっそ…暗くてダメだな。」
キバがイライラしだす。
「いったん電灯の近くまで行くぞ!!」
二人でくっついて草っぱらから出ていく。
「いたっ…」
「わ、わりぃ」
なかなか歩幅が合わなくて、よろけながら歩いていく。
「あっちに電灯あったよ？」
「こっちの方が近ェだろ…!?」
口げんかは、やっぱりしちゃう。どんなに素直になろうとしても、少し何か言われただけで恥ずかしくなっちゃうんだもん。
「…キバくん？」
ふと、向こうから声が聞こえた。
そこに立っていたのは、リオナ。
「おぅ、リオナじゃねえか!!」
キバが片手を上げた。
「何してるの？」
「あ…これ、引っ掛かっちゃって…」
すると、リオナが素早くわたし達のもとに来て、手をかざした。その瞬間、チャクラが流れてきて、髪の毛がするっとほどけた。
「……とれた！」
髪の毛は痛んでおらず、元通りになっている。
「すげー…リオナ、サンキューな！助かったぜ‼」
「えへへ、ていうか何でそんなことになってたの？」
「えっと…それは…」
な、とわたしに同意を求めてくるキバ。
「……うん」
「ていうかキバくん、こんな時間に友達連れ回ってたら疲れちゃうよ？」
リオナの言葉に、キバが「おぉ、」と反応する。
「ちゃんと早く帰った方がいいよ〜！明日もテストあるんだから」
「あー、知ってる知ってる。どうせリオナは満点だろ」
「えへへ」
じゃあね、とリオナが手を振って帰っていく。
わたしも手を振ったけど、見てくれたかは分からなかった。
「あー、マジで助かったな！」
「そうだね、ほんとリオナってすごい…」
「だな！」
キバがわたしを見てニカっと笑う。
……どうして、こんなに切なくなるのかは分かんない。
別に、わたし一人のキバじゃないのに。
終わり
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作者名：ハルサカ | 作成日時：2015年8月13日 6時
