存在。 ページ3
……結局、キバが起きるまで、わたしも一緒に居ることにななった。
もー。と言って不機嫌な態度をとってしまったけど、内心すごく嬉しかった。
キバといられる。寝顔を見つめていると、なんだかかわいくて、笑みがこぼれた。
…ふと気付けば、19時を過ぎていた。
あ…明日はテストだったっけ。勉強しておかないと…
わたしはノートを開いて、勉強を始める。
………リオナも、勉強してるかな。
必ずといっていいほど思い出すのは、リオナ。
リオナは、由緒ある一族に生まれたにも関わらず、何に対しても努力を惜しまない、本当の天才。
彼女は、アカデミーに途中から編入してきた。
それまで、忍術はサスケくん、そして、座学はわたしが、アカデミーの模範生とされた。
正直、荷が重いと感じていたけど…今思えば、模範生という肩書きが、トップという輝かしい響きが、わたしを守っていたのかもしれない。
リオナが編入してきてからは、それが全て変わった。
「リオナちゃんって、勉強だけじゃなくて稽古でもピカイチだよな!!」
「アタシ、リオナにだけは何をやっても勝てないと思う」
リオナのセンスは、明らかに周りとは一回りも違った。
それが、どんどんわたしという存在を、かき消していった。
別に、名声だとか、人気だとか、そんなものは欲しくない。それは本当のこと。
だけど……今のわたしは認めてもらえていない気がして。
わたしの存在を認めてくれる人が、この世界にはいない気がして。
何か一つでも、誇れるものがあれば安心した。
いや、それに気付いたからこそ、わたしは守られていたと知った。
でも、わたしの中の一番は、リオナにとっては大したものでもなんでもない。
「A」
気付けば、キバがわたしを見ていた。
「……あっ!!もうそろそろいってみる?」
「今、お前めちゃくちゃ険しい顔してたぞ」
「えっ!!?」
恥ずかしくなって、反対を向く。
「最近、A調子わりいんじゃねえか？」
「え、全然!ただぼけーっとしちゃうだけだから…!!」
「……」
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作者名：ハルサカ | 作成日時：2015年8月13日 6時
