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𓂅 ページ7

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『……あー、そんなところでボーッとしてるところ悪いけど、どうやら通行の邪魔になってるらしいから、みんな一旦退いてあげよう?』






そんなふわふわと、どこか形がないアーヤの言葉に、僕らは全員ハッとして後ろを振り返った。


どうやら本当に通行の邪魔になっていたらしい。



小さな10歳くらいの女の子と、その父親と見られる二人組が、可憐なかすみ草とガーベラの花束を片手に持って、困ったように眉を下げていた。






「あ、すみません。いまどきます」






慌ててたむろするのをやめて、広いところに出る。


その際、小さな女の子が不思議そうに僕らを見つめているのを横目で見た。


普通なら、幽霊のアーヤに目がむくはずなのに。




それを不思議に思っていると、

アーヤは笑いながら言った。







『実はね、私の姿や声はみんなに見えるし聴こえるけど、他の人にはぜんっぜん、一ミリも聞こえないし見えないんだ』


「……なんで、」


『カミサマと、そーゆー約束しちゃったから』






本当なのか、嘘なのか。


それをいま、僕らは判別できない。




判別できるほどの材料を、持っていないから。







「なんで……、」






声が震えるのがわかる。





ねえ。だったら、なんでアーヤは、

いま、僕らの前に、現れたりしたの?




きっと、この場にいた誰もが、そう思っていただろう。


けれど、それを口にする前に、アーヤは意味深に笑った。



まだ何も言っていないのに、

すべてがわかっているような口調で。








『んふふっ。それはまだなーいしょ。

みんなが自分で気づかないと意味ないしね』








そう楽しげに呟いたアーヤは、

ひらり、と宙に舞った。




まるで、くるくると桜の花弁が舞い落ちてくるように。








『さあてと。一年後だから、

あんまり変わってないかなあ』








くすくす笑うアーヤの声は、

小鳥の囀りのような心地よさ。





朝、目が覚めて一番に聞く、

夢から醒めるための、涼やかな音のように。









───ああ。

これは、悪夢なのか。



それとも。







『まずはさ、若武の家に行きたいな。

何かあるたびに集まってた、あそこに』








現実という悪夢から醒めるための、

夢なのかな。







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設定タグ:探偵チームkz事件ノート , 切ない , シリアス   
作品ジャンル:泣ける話
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A - 完結おめでとうございます!掲載当初からずっと追ってきた作品で、毎日更新されていないか確認するぐらい大好きな作品です。本当に完結おめでとうございます。ここまでおつかれ様でした。そして、こんなに素敵で感動する、最高の作品をありがとうございます!! (8月4日 12時) (レス) @page50 id: 6c0c6ff6b3 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 完結おめでとうございます。主さまの書かれるどこか儚いような、綺麗でどこか切ない文章がだいすきです。 (8月3日 17時) (レス) id: 39b04079dd (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - 完結おめでとうございます🎊私も天奏さんと同じでたくさん泣きまくりました。「春の向こう側で、きみを待つ」やあとがきで伝えてくれたことはとっても大切で、この話を読んで改めてまた、しっかり生きようと思わせてくれました。本当に天奏さんはすごいと思います! (8月3日 15時) (レス) id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - わかりました!あと土下座はしないでくださいね。こっちまで申し訳ない気分になるので! (8月1日 12時) (レス) @page42 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
天奏 - ユメさん» たいっへん長らくお待たせしてしまって土下座したい気分です有言不実行な作者ですみません……。あと一話更新したのち、完結まで突っ走れると思います!これはほんとです!!あともう少しだけ、彼らのお話に付き合ってもらえるとありがたいです。 (8月1日 9時) (レス) id: 9f30b1fbf3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天奏 | 作成日時:2022年6月9日 16時

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