春、おとずれ ページ15
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「……なあ、小塚」
アーヤの家へと向かっている道中にて。
前方で若武と七鬼と美門が、
アーヤの話や、今までの話を聞いて、語っている時。
隣を歩いていた上杉が、
ぽつりと言葉を落とす。
「……桜が散るまで、
平均はどれくらいなんだ？」
「……おおよそ、
咲き始めて、10日から2週間くらいで散るよ」
上杉の疑問は、ここにいる誰もが抱えているものだったと思う。
そしてきっと、アーヤはあの桜が
完全に散ってしまう日を、知っている。
妙な落ち着きが、
穏やかな空気が、彼女をまとっているから。
僕らが願いを叶えられるという絶対の自信からか。
それとも、自分が還る日を知っているからか。
……もしくは、両方か。
「……アーヤはなんで、
僕らの前に現れてくれたんだろ」
「そりゃ、俺らに喝を入れるためだろ」
「でも、家族や砂原、片山の前でもなく、
僕らの前に現れてくれた理由は、それだけなのかな」
ほんとうなら、もっとも未練を残した家族の前に、
現れたかったと思うのに。
どうして。
「……それは、アーヤに聞いてみなきゃ
わかんないんじゃないかな」
ぽつりと落とした黒木の言葉に、
僕らは揃ってアーヤを見上げた。
僕らにしか見えないアーヤ。
僕らにしか声が聞こえない、アーヤ。
……それは、どれだけ寂しいことか。
「……俺らなんかほっといて、」
「上杉」
上杉の言うことが、言いたいことがわかったから
僕は、上杉の言葉に声をかぶせて、続きを塞いだ。
「……それは、言っちゃダメなことだ」
「……そうだね。俺も小塚に同意見」
悲しいけれど。くるしいけれど。
アーヤが、彼女が選んだ選択だ。
それを無碍にするような言葉は、
いまの僕らは言ってはいけない。
言う資格など、ない。
「……だな」
───別れはかならず訪れる。
この時間は永遠ではない。
また逢えなくなる日まで、僕らは僕らなりに、
アーヤと逢えた�牋婬銑瓩鮃佑┐覆韻譴个覆蕕覆ぁ�
彼女が逢いにきてくれた理由ではなく、
逢えた結果、生まれた�牋婬銑瓩髻�
「上杉と黒木は、背負う以外に
何か思いついた？」
「……いや。まだ」
「俺も。……まあ、さっき言われたばかりだし。
自分と向き合って、彼女にできる精一杯を考えよう」
黒木の落ち着いた言葉に、僕と上杉は
ゆっくりと、でも確かに頷いた。
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A - 完結おめでとうございます！掲載当初からずっと追ってきた作品で、毎日更新されていないか確認するぐらい大好きな作品です。本当に完結おめでとうございます。ここまでおつかれ様でした。そして、こんなに素敵で感動する、最高の作品をありがとうございます！！ (8月4日 12時) (
レス) @page50 id: 6c0c6ff6b3 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 完結おめでとうございます。主さまの書かれるどこか儚いような、綺麗でどこか切ない文章がだいすきです。 (8月3日 17時) (レス) id: 39b04079dd (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - 完結おめでとうございます🎊私も天奏さんと同じでたくさん泣きまくりました。「春の向こう側で、きみを待つ」やあとがきで伝えてくれたことはとっても大切で、この話を読んで改めてまた、しっかり生きようと思わせてくれました。本当に天奏さんはすごいと思います！ (8月3日 15時) (レス) id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ - わかりました！あと土下座はしないでくださいね。こっちまで申し訳ない気分になるので！ (8月1日 12時) (レス) @page42 id: 6ccf209779 (このIDを非表示/違反報告)
天奏 - ユメさん» たいっへん長らくお待たせしてしまって土下座したい気分です有言不実行な作者ですみません……。あと一話更新したのち、完結まで突っ走れると思います！これはほんとです！！あともう少しだけ、彼らのお話に付き合ってもらえるとありがたいです。 (8月1日 9時) (レス) id: 9f30b1fbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：天奏 | 作成日時：2022年6月9日 16時
