僕は君に恋をする(山) (ページ5)

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「さみぃよ翔くん、大丈夫なの？」
「大丈夫大丈夫！」

ちょっとだけなら大丈夫と外に出る許可を貰った。
ただ、長い入院生活で体力が低下しているから車椅子で中庭に出るだけ。

確かに少し寒い。コートにマフラーに手袋もしてるけど、智くんはもっと凄い。中に三枚も四枚も服を着ているらしい。それでも寒いと言ってる。寒がりだねーって言ったらうるさいなーって言われた。

「翔くん、首すっごい冷たいよ。そろそろ中入ろ。」
「そうだね、寒くなってきた。」

よいしょって、そんな力入れなくても動くのに一杯力をかけるから、後ろに倒れそうになる。
僕は怖がりだからうわって声出したら智くんは笑った。

もっともっとそんな智くんを見たいと思った。
いろんな智くんを見たいと思った。
こんな気持ちは初めてだった。

「翔くん。」
「なぁに？」
「好きだよ。」
「そっかぁ…え？」

あぁ、マフラーで顔がちゃんと見えないじゃんか。
いや、そんなこと考えてる場合じゃない。

「ちょ、ちょっと、止まってよ智くん。」
「えー、ヤダよ。恥ずかしいもん。」
「だってさっきの…」
「うん、告白だねー。」
「恥ずかしいんじゃないの！？」

恥ずかしいって言ったくせに自分で告白だねーってそんな呑気に！

でもそっか。『好き』か。
確かに智くんのことは好きだ。
でもそれは『友達としての好き』なわけで。

「翔くん。」
「…ん？」
「返事は？」

でもね、智くん。
毎日会いたいって思ったり、もっといろんな智くんを見たいと思ったり、さっきの告白聞いてちょっと嬉しかったってことはさ？

「智くん。」
「うん。」
「好きだよ。」
「え、は、マジで！？」

やったーって、顔見えてないけど満面の笑みを浮かべてるんだろうなって予想できるよ。

「翔くん！」
「なぁに？」

車椅子が止まる。あれ？って思って顔上げたら目の前に智くんの顔。(マフラーで隠れてる。)

「ありがとう！」
「こちらこそ、ありがとう。」

「帰ろ！」
「そうだね。」

こんなに一気に幸せになっちゃっても良いのだろうかと不安になる。
こんだけ幸せになったんだから、死ぬのが早くなるんじゃないかって。

智くん、あの時は本当にありがとうね。