僕は君に恋をする(山) (ページ13)

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薬をやめてからは進行が早かった。
なぜ今まで症状が出てなかったのかが不思議なくらいに。

食欲不振に感覚麻痺、味覚麻痺、朝起きて激しい頭痛に襲われることも毎日続いた。嘔吐だって繰り返した。

その度に背中に温もりを感じるようになった。
智くんは僕がそばに居て欲しいときになぜか来てくれた。ヒーローみたいに。

もう長くないって自分で分かってた。智くんももう分かってると思う。店長さんに話して、長期休暇取るぐらいだもん。愛されてるなーって我ながらに思った。

「翔くん、今日も雨だね。」
「そう、だね。」
「晴れるの来週ぐらいだってさ。」
「でも、あの絵、晴れてるじゃない。」
「本当だ。」

梅雨でもないのに長く続く雨。僕の心の中を表しているようだった。

「翔くん。」
「ん…？」
「好きだよ。」
「うん、僕も、好きだよ。」
「ありがと。」

会話が最後のときみたいじゃない？それでも良いやと思った。だって、また『好きだよ。』って聞けたんだから。

「虹、出ると良いね。」
「そう、だね。」
「晴れたら、また外行こう。」
「来週、まで、我慢、だね。」
「早くなってほしいねー。」

ごめんね、約束守れなくて。