きみのて(バンビズ) (ページ7)

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朝ごはんを食べ終わってすぐに翔はノートを書き始めた。

『今日の朝ごはんはトーストでした。』

この一文を見ただけで幸せな気持ちになった。
これで少しは彼の記憶も戻るかもしれない。
いろんなことを記憶できるようになるのかもしれない。

家や家族のことも聞かなくなった。
昨日の彼にありがとうって伝えたい。
気付いてくれて、考えてくれて。

なんて考えていたら手に僅かな温もりが。

「本当だ、あったかいね、手。」
「え？そう？」

本当だってことは日記に書かれていたのだろう。ちょっと恥ずかしくなる。
だがそれ以上に嬉しかった。記憶がなくなってから彼から手を握ってくれたのは初めてだったから。

「ちょっと気になっちゃって…」

ごめんなさいって笑う顔に俺も自然と笑みがこぼれる。

握り返したらビックリした顔をして。翔から繋いできたくせに。
さり気なく、だけど強く。

彼が変わり始めているのなら俺も変わろう。
いつまでも以前の彼を求めてはいけない。
今の彼を殺してしまいそうで。

なんなら、日記に書くことを作ろう。つまり、思い出を作ろう。

なんなら2人の思い出の場所に行こうか。
友達にも会おう。君と同い年の子1人と俺と同い年の2人に。

今日はなんだか変だ。俺から君が溢れている。
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ランキング25位…！？
ありがとうございます(T ^ T)