ファイターズ７番の妹さん

36sister ページ48

ゆめ




実はまだ誰にも言うたことない
夢があたしにはある。





それはまあ、お兄ちゃんの元から
離れんと無理な話なんやけどな。








実は大阪の方の大学に行って
栄養管理とかのこと学んで
栄養管理士になってお兄ちゃんを
支えたい、って夢。




実はもう合格もして、
2週間ももすればもうここを出やなあかん。




受験料とかも全部自分で払ったから
お兄ちゃんはほんまに何も知らはらへん。



だから
そのことを伝えんとあかんってのが辛いねん。





だって、最低4年間はお兄ちゃんの元を
離れんといけんわけやからな。







でも、伝えんと夢は始まらんから。
もう時間もないしあーだこーだ言うてる間もない。





もう決めたことやから。






『お兄ちゃん…入んで？』






遥輝side





いつもより控えめな声に控えめな入り方。
またなんかあったんやろか、って心配になる




『話、あって来てん、』





話？なんのやろ。



「どうしたん？」




「あんな、私、誰にも言うたことない夢があってん」




夢、かあ。確かに聞いたことあらんかも。




『どんな夢？』





「大阪のな、大学行って栄養管理とかのこと学んで、栄養管理士になってお兄ちゃんを支えたい、って…、」






栄養管理士、かあ。
そんな夢あったんやなあ、




でも、大阪ってことは…




「兄ちゃんの元を離れやなあかん、ってことやんな？」




『そういうこと、やな、それでな？もう2週間後にはな、出なあかんねん、ここを、』



「そっか、そうかぁ〜、Aも俺から離れる時が、来たんやな、そうか〜、」




あかん、兄として嬉しいことなんやこれは。
泣くことなんか、ないんや、





『兄ちゃん…？泣いてるん？…』




「っ、あほ、泣くか。頑張っといで。
兄ちゃん応援する。」




『ん！！(ぎゅ)』


「おわっ、しょ、(ぎゅ)」



『栄養管理士になって…っ、兄ちゃんの栄養管理するねん、っぐす、だから4年我慢して、そしたらまたここに帰ってくる、っだからっ待っててっな、ぐす、』




「お前が泣いてどうするん、ほんま、頑張りや。
無理はせえへんことな？」




『うん、兄ちゃんも、な？
急にでほんまにごめんな、兄ちゃん、』




謝ることなんかないのにな、
きっとずーっと言えずじまいで
やっと、言えたことなんやろう。




「えーの、そんなん気にせんで。
準備は？したん？」



『ある程度は…』



もうほんまに時間あらへんな。

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