ドン・コネリーの帰還 ページ37
〜・〜・〜・〜
「そろそろボスの居場所を吐いてくれるかな」
「ハァ、ハァ···」
私の銃を逃れ、ベッド下に隠れていた男を引きずり出し、その場で拷問する。
血が溢れ出る男の薄い唇にそっと触れてから、もう一発打ち込む。
「私が吐いてほしいのは血じゃないんだ」
男は震えた手で、ネズミの握力にも及ばない力で私の胸板を押し、目には絶望の色と、生理的な涙がよく映えていた。
このまま彼の苦しげな表情を長々と見ているのもいいが、私にそんな時間は残されていない。
男のニット帽を取り上げる。
すると、何かこめかみに青く光ったものが、暗闇にのまれた私の視界を照らした。
「勘弁してくれよ。
もうメンテナンスはゴメンだ。一週間で帰れるはずだった。なのに何だ、人間どもが手違いしたせいで一ヶ月に延長だ」
"ふざけんな、あのf**k野郎!"と吐き捨てると、男はこの状況に追いつけない私の手を払い、殴られた箇所をため息混じりにさすった。
「何を言って」
「説明が必要?」
「拷問されてからの第一声が"メンテナンス"?」
「お前のデッカイ目ん玉とメガネは何のためについてる。俺はアンドロイド。
この間家に立てこもった男にぶん殴られてメンテナンスを受けてた。フーリッシュがここにいると聞いて」
「彼を知ってるのか?」
「あいつは愛弟」
「ああ・・・謝るよ。彼のお兄さんだとも知らずに。あと一歩遅かったらどうなっていたか」
「マッドか、あのエージェントの」
「そうだ」
「名前通りにイカれた馬鹿力野郎だな。
本名はハワード・ボスウェル。自己紹介されなくとも、ぜんぶリサーチ済みだ」
「君は?」
「ドン・コネリー」
「任務に協力を?」
「そのために来た」
「頼もしい」
「行くぞ」
ドンは私の前をゆき、ポケットからピストルを取り出してあたりを警戒する。
フーリッシュとリルは無事だろうか。
私は裏脳に不安を抱えながらも、仲間に加わった彼と共に、ファッションショーの裏側へ向かっていった。
〜・〜・〜・〜
「やる事といえば坊やのお世話ね。彼、いつも泣いているから寝かしつけるのが大変なの」
「坊や?」
「仕立て屋の息子。一応可愛がってるつもりなんだけど、なかなか目を合わせてくれない」
「彼はどこに?」
「北の地下にいる。でも行くなら気をつけて。色んなトラップがうろついてるから」
「分かった、綺麗に白状してくれてありがとう。あ、それと忠告も!」
私は屋上を去り、フーリッシュを連れ、ファッションショーの裏側へ向かった。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時