【黒バス男主】カラフル・モノトーン (ページ3)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:3,030 hit

モノクロ「影」改訂ページ3

玄関で、学校指定の白い運動靴を履く。

爪先でトントンと床を叩いて、後ろを振り返る。

同じく学校指定の黒い運動靴を履いた悠莉が俺を見る。

悠莉「行こっか」

貴方「あぁ」

最寄りのバス停からバスに乗り、手頃な席に二人並んで腰かける。

人の少ないこのバスには、いつも俺達と、気配を消している水色の髪の男子生徒がいるだけだった。

その生徒は、勿論見覚えがある。

_____鮮やかでカラフルな〈虹色〉の方だ。

悠莉「A、何かお菓子とか持ってないの」

貴方「持ってないよ、持って来なかったのか?」

悠莉「今日忘れちゃったんだ」

頭を掻きつつへらっと笑う悠莉の頬を優しくつねると、悠莉は「いひゃい」と可笑しな声を出して笑った。

するとそこに、その水色の男子が近付いてきた。

「あの」

貴方「どうかした?」

そう即座に答えると、その男子生徒は少し驚いたような顔をしつつ

「お菓子、大した物ではないですが、持ち合わせがあるんですが...食べて下さい」

と言ってきた。

悠莉「うわぁ、ありがとう!」

パアッと笑顔になった悠莉を横目に、その男子生徒に話し掛ける。

貴方「君、さっきは何に驚いていたのかな?」

その子はまた少し目を見開いて

「いえ...まさか、君達だと思わなくて」

と言った。

「お久し振りですね」

貴方「...そうだね、〈水〉」

そう言えば、〈水〉は少し悲しそうに俺を見た。

黒子「やっぱり、名前は呼んでくれないんですね」

貴方「あぁ。君は、鮮やかで目障りな『水色の鳥』。俺達のようなモノクロには眩しすぎる影だからね」

そう挑発的に言えば、〈水〉は顔を顰めた。

そこで、悠莉が『おります』のボタンを押した。

席を立ち、〈水〉の脇を通り抜ける。

貴方「お菓子をありがとう、〈水〉。君が鳥籠に気付く頃にまた会おう」

バスから降りる時、後ろから声がした。

黒子「君達は、なんなんですか?」

振り向いて、クスリと笑う。

貴方「鈍く輝く『モノクロ』の鳥だよ」

最後に見えたのは、黒子の呆気に取られたような顔だった。