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3月22日22:24 ページ24

「にしても、こう毎日毎日お前らと飲むのも飽きがくるよな」

日も傾いたかぶき町の片隅、小さな居酒屋の中でうんざりした様子を微塵も隠さない銀時の呟きがこぼれ落ちた。

「そりゃあこっちの台詞だ。手前ぇの顔を見ながら飲む酒ほど不味いモンはねぇ」
「あ?んだとコラ、何なら今すぐ飲みは止めにして手前ぇと真剣で討ち合ってもいいんだぞ」

同じくうんざりとした様子を微塵も隠さない男に銀時が牙を剥く。
男は「あァ、面白ぇじゃねーか」とくつくつと笑った。

「ほらほら止めんか、大の大人がみっともない。俺の方こそ毎日貴様らのその皮肉のし合いは聞き飽きたぞ」

そんな二人の間に割って入り、もう一人の男がうんざりとした顔で語る。
銀時は「うるせぇ、ヅラこそそのみっともねぇ長髪切ったらどうだ」と酒で紅潮した顔で睨み付けた。

「ははっ、その猿みてぇな顔じゃあ何言っても説得力なんざありゃしねぇな」
「んだとぉ!!」
「全く、いい加減にしろ。銀時、高杉も

呂律の回りきらない銀時の肩を引っ掴んで今にも高杉の胸倉を掴みかからんばかりの勢いの身体を椅子に無理やり落ち着ける。
桂はやれやれと重い溜息を吐いた。

「貴様らは毎日毎日よくも同じ内容で罵り合えるな。もはや尊敬の域だぞ」
「うるへーー!!俺ぁな、こいつの澄ました顔がムカつくんだよ。ちっと酒に強ぇぐれーで何だってんだコノヤロー」
「その腑抜けただらしねぇ面に良く似合うじゃねーか。せいぜい猿みてぇに喚いてなァ」

一向に収まらない中身もない言い争いにとうとう桂も諦めたように溜息を吐くと「追加で同じものを頼む」と脇を通り過ぎた店員に声を掛けた。

銀時と桂、そして高杉は互いに幼い頃からの顔見知りであり、所謂幼馴染というものである。
出会いも出生も家柄も全てがバラバラであった3人であるが、同じ師を持つもの同士大人になった今でもこうして顔を合わせては昔のように他愛ない時間を過ごしている。

「まァ、最後に先生が村塾を置いた地がここだってのが腐れ縁でもあるがなァ」
「まーな、松陽は最近来ねぇけど元気なの?」
「あぁ、今でも子ども達に読み書きを教えてるさ」

ふーん、と銀時が適当に頷く。
同じ教え子でありながら滅多に自分には会いに来ないものだ、と妙に拗ねたような表情をするものだから思わず桂と高杉は銀時に気付かれぬよう小さく笑っていた。

3月22日22:30→←3月22日14:35



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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時   
作品ジャンル:恋愛
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - えだまめンヌ。さん» 心温まるメッセージありがとうございます!私生活との兼ね合いで中々こちらにお邪魔できない状況が続いていますが、えだまめンヌ。様の言葉を励みに頑張っていきたいと思います〜! (2020年6月20日 21時) (レス) id: fbcf0daba9 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - ↓「作品だったとは」の後に「…」を入れるの忘れてしまい変な文章になってしまいました。地味に地味ーに誤字っちゃいました笑すみません! (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - こんなに色々考えさせられる作品だったとは軽い気持ちで読んだのですが、もう完全にハマっちゃいました。応援しています!!長文失礼致しましたm(_ _)m (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - けれど、ここにきて予期せぬ展開ばかり起こっていて、ん?ん?となんとか自分なりに考察しながら読み進めています笑どんな結末になるんだろう…!?最後に話が1つに繋がってスカッとなる瞬間がくるのを今から待ち焦がれています! (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)
えだまめンヌ。 - えええ…。とってもとっても続きが気になります!!初めは本当に「なんじゃこりゃ?」ってなって、あとがきを読んでましろさんにしめしめと一本取られていたとわかったときは少ーし腹が立ちました笑 (2020年6月18日 20時) (レス) id: 510c711c3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作成日時:2019年5月26日 21時

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