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部屋のベットに倒れ込む。
まだ汗は引かない。
『何。僕は何を忘れている…?』
その呟きは誰に拾われる事もなく、ひとり静かな部屋に響くだけ。
重たくなってきた瞼をそのまま下ろし、深く息を吸う。
ベットに沈んでいくように眠る。
『あの子って、誰、だっけ……』
消えていく記憶に抗えず、ひとりの迷ヰ犬はその意識を手放した。
真っ暗。
暗い。
昏い。
冥い。
ここは、何処だろうか。
[ごめんね。]
誰?
[きっと、取り戻せるから]
何を、云って…
[急いで。]
何を?
[この事件を早く解決するんだ。]
如何して?
[早くしないと手遅れになる。]
何が、手遅れになるの?
[君が、君でなくなってしまう。]
僕が僕じゃなくなる?
[……ごめんね。A]
如何して、僕の名前。
[兎に角急いで。早く。早くしないと。]
"手遅れになってしまうから"と、背後から急に声がする。
ばっと振り返ればそこには小さな女の子がいて。
気づいたら真っ暗な空間が白に変わっていて。
『君は?』
?「__だよ。」
上手く聞き取れない。
少女が微笑む。
?「大丈夫だよ。貴方ならきっと、大丈夫。」
ぎゅっと小さな手で僕の手を握る少女。
『何が大丈夫なの?』
?「大丈夫ものは大丈夫なの。だからほら。そろそろ起きないと。」
『もう、そんな時間か…ねぇ、僕は何時になったら死ねるんだろう。』
如何して僕はこんな幼い少女にこんなことを聞いているのだろうか。
少女は笑って答える。
?「大丈夫だよ。」
何が、と口を開くが本当に時間のようで。
僕の意識がだんだんと覚めていく。
?「大丈夫だから、頑張って___」
最後に少女が云った言葉は聞き取れず、目が覚めた。
『朝、か……』
パッと目を開けば、昨日と同じ服のままベットで眠っていた。
カーテンの隙間から入ってきた日差しが丁度顔に当たって眩しい。
ピンポーン、という呼鈴が朝の部屋に響く。
僕は起き上がってドアを開けに行く。
『やあ、おはよう。中原君は昨日ぶりだね。』
ドアの前に立っていたのは不機嫌そうな太宰と中原だった。
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かないろろ(プロフ) - 高評価押しました!味の保証はしません()明日香ちゃん推しになりそう… (5月2日 0時) (レス) @page11 id: 838d77be55 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - AKuRuSuさん» 高評価ありがとうございます(笑)この高評価、ばかうまいです! (2021年6月12日 20時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
AKuRuSu(プロフ) - 高評価です!美味しくいただいてくださいね。 (2021年6月11日 21時) (レス) id: ce85f22cc6 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃちゃねこ(プロフ) - よかったです! (2021年4月4日 0時) (レス) id: 7a16543b0a (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - ちゃちゃねこさん» ありがとうございます!めちゃくちゃ美味いです。 (2021年4月3日 21時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗夜 | 作成日時:2021年2月6日 23時